はじめに
「老後は不安」「年金だけでは暮らせない」――そんな話をよく耳にします。しかし、実際の高齢者はどう感じているのでしょうか。内閣府の調査によると、日本の65歳以上の約8割が、「現在の生活に満足している」「「まあ満足している」と回答しています。また、生きがいについても、6割以上が「大変感じている」「多少感じている」と回答しています。
こうしてみると、「年金が少ない」「年金だけでは生活できない」といわれる一方で、日本の高齢者の多くは、意外にも幸せに暮らしているのだな、と思いませんか?
では、アメリカやドイツ、そして福祉国家として知られるスウェーデンと比べると、どうなのでしょうか。今回は、65歳以上の高齢者の生活と意識を、日本と諸外国で比較しながら考えてみたいと思います。
日本の高齢者の約8割は「生活に満足している」
内閣府より「令和8年版高齢社会白書」が公表されました。白書では、5年ごとに実施されている「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」の結果が掲載されています。調査自体は日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの60歳以上を対象に実施されていますが、ここでは白書に掲載された65歳以上の集計結果を見ていきましょう。
「現在の生活に満足しているか」という質問に、「満足している」「まあ満足している」と答えた人は、日本79.2%、アメリカ93.6%、ドイツ88.5%、スウェーデン96.6%でした。
スウェーデンの96.6%という数字には驚かされますが、日本でも約8割の人が現在の生活に満足しているという結果でした。また、「生きがいを感じているか」という質問では、「大変感じている」「多少感じている」を合わせた割合が、日本64.0%、アメリカ82.2%、ドイツ63.8%、スウェーデン88.0%でした。日本でも6割以上の高齢者が、生きがいを感じていることがわかります。
収入のある仕事を続けたい人は日本がトップ
「収入を伴う仕事をしたい(続けたい)と思うか」という質問に対して、「したい」と答えた割合は、日本39.0%、アメリカ24.3%、ドイツ19.8%、スウェーデン19.1%でした。4カ国の中では、日本がダントツでトップですね。
では、なぜ働き続けたいのでしょうか。働きたい主な理由として、日本、アメリカ、ドイツで最も多かったのは「収入が欲しいから」でした。特に日本では「収入が欲しいから」という回答が最も多く、生活を支えるために働きたいという意識がうかがえます。一方、スウェーデンでは「自分の知識や能力を生かしたい」という回答が最も多く、働く目的そのもに違いがあることがわかります。
また、2番目に多かった理由を見ると、日本とアメリカでは「働くのは体によいから、老化を防ぐから」、ドイツとスウェーデンは「仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから」となっています。国によって、働く目的そのものが大きく異なることがわかります。