はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、小・中学生2人の子どもを育てるシングルマザー。効率よく老後資金を形成する方法についての具体的なご相談です。FPの氏家祥美氏と考えていきましょう。
3年半前に離婚をして、シングルマザーで子ども2人を育てています。養育費は離婚後3年半で支払われたのは合計で十数カ月ほど。現在は勤め先も住居も不明のため、養育費は諦めている状態です。
実家で一人暮らしをする私の母(81歳)と介護について話し合ったことをきっかけに、自分の老後資金についても考えるようになりました。老後資金としては、これまでボーナスなどから年12万円を小規模企業共済に入れていましたが、最近解約しました(共済金は8月に振り込まれる予定で、130万円ほどを見込んでおり後述の普通預金に組み入れております)。 子どもの教育費に影響を与えずに老後資金を形成していきたいと考えており、効率よくかつ安全な方法をご指南いただければ幸いです。
ちなみに、私が考えたプランは以下の通りです。
① 勤務先での「企業型確定拠出年金」制度を利用し、今年9月の給与から月1万円で開始(退職金なし、60歳定年、65歳まで再雇用制度あり)。
② 普通預金から200万円分を4.5%の配当クーポン付き米国債(残期間17年7カ月)を購入(楽天証券口座を利用)、年間7万円ほどの配当金を受け取り(楽天銀行へのマネーブリッジを利用)、この配当金7万円+年間5万円の自己資金を足して、年12万(月々1万円)の新NISA積み立て投資を開始。
こちらが、正しい判断であるか否か、他にもっとよい方法があるか、見落としている懸念事項があるかなどご指南いただければ幸いです。
また、老後は施設に入った場合に資金が不足しないよう、年金の受け取りをなるべく後ろ倒しをし、75歳まで遅らせて月20万円ほど受け取れるように、健康維持と職業的な実績を積みあげていけるよう努力していきたいと思っています。
【相談者プロフィール】
女性、48歳、契約社員(無期)+副業
・夫:なし(離婚のため)
・子ども:10歳(小4)、12歳(中1)
・お住まい:持ち家(戸建て)
・毎月の世帯の手取り金額:32万円(約29万〜37万円で月により変動)+約8万円(副業収入)
・年間の世帯の手取りボーナス額:35万~80万(年により変動)
・その他:児童手当 月額2万円(2人分)
【毎月の支出の内訳】
毎月の世帯の支出の目安:44万円
・住居費:5万円
・食費:6万円
・水道光熱費:3万円
・教育費:16万円
・保険料:2万円
・通信費:1万円
・車両費:3万円(維持費+ガソリン代1.3万円)
・お小遣い:1万円
・その他:7万円(交通費5万+日用品など2万)
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:0万円
・ボーナスからの年間貯蓄額:なし
・現在の貯金総額:普通預金520万円、定期預金300万円、学資保険400万円×2人分(高3の秋から年100万円ずつ4回保険金が振り込まれる、払い込み済み掛金総額は330万×2人分)
・毎月の投資総額:0万円
・現在の投資総額:0万円
・現在の負債総額:900万円
・住宅ローン:当初は、物件購入金額1340万円、借入額1370万円、35年(70歳まで)、月々40500円、2013年に借入(今年6月に金利が1.675%から1.925%に上がったため借り換えを実施)/今年9月~は、借入額940万円、金利1.09%(ガン団信)、17年(65歳まで)月々50,500円
・老後資金:公的年金(65歳受け取りで月11万円ほどの計算)
・教育費:2人とも私立の中高一貫校。長女の中学は年間学費55万円(設備費や研修費は別)で文系志望。次女は理系志望。芸術系の習い事で2人ともそれぞれに年間50~60万円ほど、次女は乗馬を習っており年間25~30万円
・その他:退職金なし
家計バランスはとれているのか
現在の家計の状況を確認していきます。
毎月の収入は、給与が手取り32万円、副業収入が8万円で合計40万円。これに、児童手当が月額2万円、ボーナスが35万円~80万円となっています。残念ながら、現在元夫から養育費の支払いはありません。児童手当は将来の教育費に取っておきたいため、家計バランスの計算では外します。平均月収40万円をベースに家計バランスを考えます。
月額40万円の手取り収入に対して、毎月の支出は44万円。収入よりも支出がはるかにオーバーしています。原因を探るため、支出44万円を固定費と変動費に分けてみました。
<固定費>
住居費:5万円
水道光熱費:3万円
教育費:16万円 (※ボーナスから別途年間60万円)
保険料:2万円
通信費:1万円
車両費:3万円(ガソリン代1.3万円含む)
➡合計30万円
<変動費>
食費:6万円
お小遣い:1万円
交通費:5万円
日用品:2万円
➡合計14万円
固定費が30万円に対して、変動費が14万円。明らかにバランスが悪いですね。「固定費」の内訳に注目すると「教育費」が16万円と群を抜いて多くなっています。「教育費は減らしたくない」とのことですが、ご相談者さんのお子さんは、小学4年生と中学1年生。いわゆる「教育費のピーク」はまだまだ先の年齢です。将来を考えると何らかの改革が必要でしょう。
続いて「保険料」を見ていきます。2万円の保険料の内訳は、9,500円が本人名義の死亡保険と医療保険。お子さんを支えるシングルマザーとしては妥当な保険です。残りの9,000円は、元夫名義の生命保険。貯蓄型と1年更新の定期保険の2つに加入していると思われます。「別れた夫がもしも死亡したら保険金が入る。その権利を手放すのはもったいない」ということなのでしょうが、お子さんの養育費を支払わずに勤務先も住所もわからない行方知れずの元夫です。保険料がもったいないので、元夫の保険は早々に解約し、家計改善に役立てましょう。
「変動費」の内訳では、交通費の5万円が目立ちますが、全体的には大きな問題はありません。