はじめに

日米の株式市場では、半導体関連の調整売りや為替の円高方向への揺戻しなど、投資家にとっても相場の方向感が見えにくく、次の手を見極めにくい状況が続いています。

マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」で配信されている「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、クオンツアナリストの大川智宏氏とDJ Nobby氏が、今週のマーケットの裏側を解説しています。

今回は、ボラティリティの激しい半導体相場から離れ、上場来高値を更新する勢いを見せる「スシロー」や「すき家」など大手外食株の強さの秘密、為替の円高シフトで注目される「ニトリ」や「メガバンク」の動向、大川道場でジャッジする不動産大手「三菱地所」の見通しまで、今後の資産形成に役立つ着眼点を紹介します。

【記事の要点】
・乱高下する半導体を避け、海外展開と価格転嫁(値上げ)で利益を伸ばす「スシロー」や「すき家」が選択肢として注目されている。
・円高で輸入コストが下がる「ニトリ」や、国内の金利上昇が追い風となる「メガバンク」が底堅く推移している。
・金利上昇が業績の逆風となる不動産株(三菱地所)は、焦って買わずに株価が落ち着くまで慎重な見極めが必要と指摘されている。

半導体株は様子見のレンジ相場。次に注目される長期投資の候補とは

足元でキオクシアやフジクラなどの半導体・周辺銘柄は買い戻しの動きが見られたものの、日々の値動きが激しく方向感が定まらない状態が続いています。

大川氏は、「価格トレンドが明確に読めるようになるまでは、市場全体としても大きな動きが難しい」と分析。短期的なゲームとして割り切るならともかく、中長期で資産を育てる投資家にとっては、半導体から一旦離れて、別の実需が期待できる内需・優良株に目を向けるのも一つの視点といえます。

上場来高値を更新する「スシロー」「すき家」。少子高齢化の日本を飛び出す大手の戦略

その有力な分散投資先として、大川氏が挙げるのが「日本の外食産業(特に大手)」です。 すき家を展開する「ゼンショーホールディングス」やスシローを運営する「フード&ライフカンパニー」は、単なる上場来高値更新にとどまらず、好調な株価の伸びを見せています。

国内市場だけを見ると、原材料高や人件費高などのインフレを価格に転嫁しきれず、8月のデータ(東京商工リサーチ)でラーメン店や居酒屋の倒産件数が過去最多を記録するなど、厳しい環境が続いています。

しかし、大手のスシローやゼンショーは、中期経営計画において海外売上高比率を「35%」に設定し、海外展開を推進しています。海外は国内と違って物価高(インフレ)が受け入れられる社会であるため、製品やサービスの価値に合わせた価格転嫁がスムーズに進みます。

以前紹介した、海外売上比率8割の「キッコーマン」や6割の「宝ホールディングス」のように、海外で高い利益を稼ぎ出し、その利益が国内の低価格サービスを維持・我慢できる原動力になるという好循環が、大手外食株の強さの要因です。和食という世界的に人気な文化を武器にした外食産業は、今後の日本の新しい看板(顔)になる可能性を秘めています。

一時155円台の円高へ。恩恵を受ける「ニトリ」と、金利上昇でも底堅い「メガバンク」

為替相場でも変化が起きています。日銀の早期追加利上げ警戒(高田審議委員の「0.25%にこだわらない」などの発言による観測強まり)をきっかけに、ドル円レートは一時155円台まで円高が進行しました。

この円高局面でいち早く反応したのが、輸入仕入れコストの低下がプラスに働く「ニトリホールディングス」です。同社は月次の売上数字が好調だったことも追い風となり、株価が一時上昇しました。

一方、日本の長期金利上昇を背景に、メガバンク(三菱UFJなど)も底堅い動きを見せています。利ざや改善期待だけでなくグローバルなファイナンス需要に支えられているため、利上げ牽制の発言などによる一時的な調整(下落)局面があれば、中長期の視点では注目すべき局面になり得ると大川氏は見ています。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]