はじめに

【記事の要点】
・オルカンでの積立に慣れ「もっと何かしたい」と感じても、単に商品を買い足すことが最適解とは限らない。
・「コア・サテライト」の発想を取り入れ、オルカンを軸にしつつ興味のある国やテーマを別枠で調べる、投資する方法がある。
・新しい商品を買うだけでなく、保有しているオルカンの投資先や組み入れ企業を「深掘りして知る」ことも投資を楽しむ選択肢。

新NISAの登場とともに「オルカン」で投資デビューしたという方から、「もっといろいろな投資信託を買った方が良いのでは?」というお問い合わせをいただくことも少なくありません。今回は、投資を始めたことで視野が広がったという方に、いくつかご提案をさせていただきます。


「S&P500も人気なので買ったほうがいいですか?」
「最近、○○というテーマが気になっていて…」

NISAを始めて、毎月コツコツとオルカンを積み立てている。でも、投資に慣れてくると、「せっかく投資を始めたのだから、もう少し何かやってみたい」と思うことがあります。

その気持ちは、決して悪いものではありません。むしろ、投資に関心を持ち、自分のお金がどこで働いているのかを知ろうとすることは、とても大切なことだと思います。

ただし、そこで「投資する商品を増やす」ことだけが答えとは限りません

オルカン、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)への連動を目指すインデックスファンドです。日本を含む先進国、新興国の株式に幅広く投資します。

つまり、オルカンを買うということは、「世界のいろいろな国や企業に投資する」という選択をしているわけです。オルカンが連動を目指すMSCI ACWIは、先進国・新興国の大型株・中型株を対象に、世界の投資可能な株式市場の約85%をカバーしています。

投資のリスクを低減させるためにも、投資先の「分散」が重要という知識は広く理解されるようになりました。世界中のさまざまな企業に投資するオルカンは、地域や企業を幅広く分散できる投資信託といえるでしょう。

ところが、ここから「もっと何かしたい」と思って、S&P500を買い、バランスファンドも買い、さらに日本株を買い、テーマ型の投資信託も買う……となると、いつの間にか「何に投資しているのか」が分かりにくくなることがあります。

買い足しで迷子になる前に。「コア・サテライト」の考え方

そこで私がおすすめしたいのが、「コア・サテライト」という考え方です。

コアとは「核」のことで、あくまでも長期的な資産形成の中心には、オルカンのような幅広く分散された商品を置く。そして、「もう少し投資を楽しみたい」「この国や産業に注目している」という部分については、サテライトとして別枠で考えてみるものです。

興味関心のままにあれもこれもと投資信託を選ぶと「コア」がないまま散らばってしまいますから、最初から全部をサテライトにしないことが重要です。

たとえば、「世界経済全体の成長を取り込みたい」という目的でオルカンを積み立てながら、その一部で「自分が興味を持った国や産業を調べ、そのテーマに関連する投資信託やETF、個別株などを検討してみる」のです。そんな付き合い方なら、投資を学ぶ楽しさも生まれます。

オルカンにS&P500を追加。知っておくべき「重複」の事実

ここで、オルカンにならび人気があるS&P500投資にする投資信託についても少し考えてみましょう。

オルカンを持っている人がS&P500を追加購入すると、「違う商品を買ったから、分散できた」と感じるかもしれません。しかし、S&P500は米国の代表的な500社を対象とする指数です。

一方、オルカンにも米国企業は大きな割合で含まれています。オルカンは、世界の株式市場を、その市場の時価総額の大きさに応じて持つことを基本的な考え方としているので、結果として現在は米国への投資比重が大きくなっています。

つまり、オルカンにS&P500を追加すると、単純に「世界+米国」となるわけではなく、「世界に投資しながら、米国への投資比率をさらに高める」という意味合いが強くなります。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。もしあなたに「これからも米国企業の成長に期待したい」という考えがあるなら、米国株への比重を高めることには意味があります。

大切なのは、「分散するためにS&P500を買う」のではなく、「自分は米国への投資比率を高めたいのだ」と理解して買うことです。

テーマ型ファンドへの投資。「伸びそう」だけで飛びつかない

同じように、テーマ型ファンドを買うのであれば、「AIが成長しそうだから」「半導体が伸びそうだから」という理由だけで飛びつくのではなく、その産業がなぜ成長すると考えるのか、どの国のどんな企業が恩恵を受けるのか、といったところまで考えることをおすすめします。そうすれば、投資は単なる「値上がりしそうなもの探し」ではなくなります。

もしオルカンをコアにして、サテライトで何かに投資してみたいのであれば、まず「国」や「産業」を一つ選んで調べると良いでしょう。

たとえばインドが気になるなら、人口だけではなく、どんな産業が成長しているのか、主要企業はどこなのか、経済成長を支えているものは何なのかを調べてみる。半導体が気になるなら、半導体そのものだけではなく、製造装置、素材、設計、製造、最終製品など、産業全体を調べてみる。

この「調べる」というプロセスこそ、サテライト投資の面白さではないでしょうか。

もちろん、調べたからといって、必ずその投資が成功するわけではありません。むしろ、どれだけ調べても予想通りにならないのが投資であるとも言えます。

だからこそ、資産形成の中心部分まで個別の予想に賭けるのではなく、コアを持ったうえで、サテライトで自分なりの仮説を試してみる、そんな距離感がちょうどいいのだと思います。

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