はじめに
日銀会合は追加利上げ後のペースが焦点

そしてFOMCの直後、9月17、18日には日銀金融政策決定会合があります。植田総裁の会見は18日です。現在の日銀の政策金利は1.0%です。市場では9月会合で0.25%の追加利上げを行い、1.25%とする可能性がかなり意識されるようになっています。
今回の日銀会合では、利上げの有無以上に、その後の利上げペースをどう考えているかに注目したいところです。高田委員が示したように「利上げの間隔や幅にとらわれない」という考え方が日銀内で広がっているのであれば、10月以降についても追加利上げを市場が織り込むことになります。市場では9月の追加利上げ観測が強まっています。さらに一部では、その後も四半期程度の間隔で利上げが続き、2027年には政策金利が2%に達するとの見方も出ています。
追加利上げがより確かだと市場が確信すれば、日米金利差の縮小期待が一段と強まり、円高圧力が続きやすくなります。
一方、9月に利上げしたとしても、植田総裁がその後の利上げについて慎重な姿勢を強調すれば、「材料出尽くし」で円が売り戻される可能性もあります。
日米金利差と資金還流で変わるドル円シナリオ
今後のドル円を見る際、私が最も重視したいのは、日米の政策金利だけではありません。これまで円安を支えてきたのは、日米金利差と、それを利用した円キャリートレードでした。
しかし、日本の金利が上昇し、米国も円安を問題視し、日本の機関投資家が海外から国内へ資金を戻す可能性が高まれば、円を売り続ける合理性は徐々に低下します。
足元で円高が短期間に進んでいるのも、こうした環境変化を察知した投資家が円売りポジションを縮小している面が大きいでしょう。実際、円相場は9月8日に1ドル=152円台まで上昇し、円売りポジションの巻き戻しが相場を増幅しているとの指摘もあります。
一方で、ここから一直線に円高が進むと考えるのも危険です。米国側を見ると、今回の8月CPIは、総合が前月比0.4%、前年比3.4%といずれも予想通りでした。前年比では前月から横ばいで、インフレ率が再加速したわけではありません。前月比は前月の0.1%から0.4%へ上昇しており、足元ではエネルギー価格などの影響を受けて物価上昇圧力が強まっています。
コアCPIは前年比2.4%と前月の2.5%から鈍化したものの、前月比では0.3%と予想の0.2%を上回りました。今回のCPIは利上げを決定づけるほど強くはない一方、利下げ期待を高める内容でもなく、9月FOMCでの追加利上げ観測は強まっています。
中東情勢による原油高が続くなか、今後エネルギー価格の上昇がサービス価格や輸送費などに波及すれば、コアインフレにも遅れて影響する可能性があります。FRBが追加利上げに前向きな姿勢を示す一方、日銀が追加利上げに慎重となれば、ドル円は再び上昇する可能性があります。逆に、今後米国のインフレが落ち着き、FRBの追加利上げ期待が後退する一方で、日銀が継続的な利上げ姿勢を示せば、日米金利差縮小を背景に円高がさらに進むシナリオも想定しておくべきでしょう。
今のドル円は、「ドルを買うか、円を買うか」という方向感を決め打ちするよりも、米国のインフレと金融政策、日本の利上げペース、そしてGPIFなど国内投資家の資金還流という3つの変数を確認しながらポジションを調整する局面に入っていると考えています。
為替だけでなく、日本株についても円高メリット株、輸出関連株、銀行・保険など金利上昇メリット株の強弱が入れ替わる可能性があります。個人投資家にとっては、相場の方向を当てに行くより、日米金融政策の組み合わせごとに「円高なら何を買うか」「円安に戻った場合は何を持つか」をあらかじめ整理しておくことが、9月相場を乗り切るうえで重要になりそうです。
この記事が少しでも皆様の投資の参考となれば幸いです。
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