はじめに
お金を「使う・貯める・増やす」に3分類すると債券の使い方がわかる
私は、お金を「使う・貯める・増やす」の3つに分けて考えると、債券の位置づけが分かりやすくなると思います。
まず「使うお金」は生活費や、近い将来使う予定のあるお金です。これは価格変動の大きい金融商品ではなく、普通預金など、必要なときにすぐ使える場所に置いておきます。
次に「貯めるお金」は数年先に使う可能性があるものの、すぐに使うわけではないお金です。このお金は、できるだけ元本割れを避けながら、預金よりも少しでも有利に運用できれば理想です。
ここで選択肢の一つになるのが、個人向け国債です。
個人向け国債には「変動10年」「固定5年」「固定3年」があり、変動10年は半年ごとに金利が見直され、金利の下限は年0.05%です。また、発行から1年経過すれば国による中途換金が可能で、中途換金時も元本割れしない仕組みになっています。
前述した「債券」は償還前に売却をすると、その時の金利状況によっては元本が割れることもありますが、個人向け国債は中途換金時も元本割れしない(直近2回分の金利分が差し引かれる)ので、個人にとってはより扱いやすい金融商品です。
そして「増やすお金」は、当面使う予定がなく、長期的な資産形成を目的とするお金です。ここでNISAやiDeCoを活用し、株式など成長が期待できる資産を組み入れていきます。
こう考えると、「債券を持つこと」と「債券ファンドをNISAやiDeCoで持つこと」は、必ずしも同じ意味ではないことが分かります。
株式の値動きが大きいことに不安を感じる人なら、株式と債券を組み合わせることで、ポートフォリオ全体の値動きを抑えることが期待できます。
また、NISAでは成長投資枠で債券を組み入れた投資信託を購入できます。さらに、2026年度の税制改正では、つみたて投資枠についても、主に株式または公社債に投資する投資信託を対象にできるよう要件が見直され、債券中心やバランス型の選択肢を広げる方向が示されています。
相場に惑わされない。資産全体で考えるポートフォリオ作り
ただし、債券ファンドには信託報酬などのコストがかかります。また、国内債券ファンドであれば金利変動による価格変動、海外債券ファンドであればそれに加えて為替変動の影響を受けます。
「海外のほうが金利が高いから」といって、必ずしもその分だけ有利になるわけではありません。受け取る利息だけでなく、債券価格や為替、そしてファンドのコストまで含めて考える必要があります。
債券を考えるときに大切なのは、「債券は株式より安全だから買っておこう」と単純に考えないことです。
たとえば、すでに十分な生活防衛資金を預金で確保し、さらに数年先に使う予定のお金を個人向け国債で持っている人なら、資産形成のためのNISAまで無理に債券を組み入れる必要はないかもしれません。
一方で、資産のほとんどを株式で運用していて、値下がりしたときに不安になって売却してしまいそうな人なら、NISAやiDeCoの中に債券を組み入れる意味があります。
大切なのは「債券を何%持つか」という数字から考えるのではなく、自分のお金全体のうち、どれだけを値動きの小さい資産で確保できているかを見ることです。
GPIFのポートフォリオを参考にすることは、分散投資の考え方を知るうえで有益です。しかし、GPIFと私たち個人では、お金の目的も時間軸も異なります。
「使うお金」は安全に置く、「貯めるお金」は元本割れを避けながら少しでも有利に、「増やすお金」は長期的な成長を目指す。
この3つを意識すれば、「株価が上がったから債券を買おう」「金利が上がったから債券を増やそう」といった相場の動きだけに左右されず、自分にとって債券が必要なのかを考えられるようになります。
債券は、株式の代わりに持つものでも、NISAに必ず組み入れるものでもありません。自分のお金全体の中で、どのような役割を担ってもらうのかを考えて選ぶ資産なのです。
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