はじめに

ちょっと残念な話から始めます。地方に住む知人の息子さんが、大学進学を機に一人暮らしを始めました。大学へは近いものの買い物には少し不便だったため、自転車で移動していました。

ところがある日、スーパーの駐車場で停車中の車に衝突してしまったのです。息子さんの完全な不注意でした。幸いケガはありませんでしたが、車のボディがへこみ、修理代として約20万円を支払うことになりました。「自転車保険にも入っていないし、自腹で払うしかない……」そう思い、父親は修理代を全額支払いました。

ところが後日、ファイナンシャルプランナーにこの話をしたところ、「自動車保険や火災保険の特約に、個人賠償責任保険は付いていませんか?」と言われたそうです。

慌てて契約内容を確認すると、自動車保険に個人賠償責任保険が付いていました。保険金の請求権には原則3年間の時効があるため、まだ請求できる可能性があります。「えっ、別居している子どもの事故でも補償されるの?」そう思う人も多いでしょう。今回は、意外と多い「保険の請求漏れ」についてお話しします。


個人賠償責任保険は意外と守備範囲が広い

個人賠償責任保険は、日常生活で誤って他人にケガをさせたり、物を壊してしまったりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償される保険です。自転車事故や、飼い犬が他人にケガをさせた場合など、日常生活におけるさまざまな事故が補償の対象になります。

一般的な個人賠償責任保険では、補償の対象となるのは「生計を共にする同居の親族」です。しかし同居していなくても、親から仕送りを受けている未婚の子どもなどは補償の対象となる場合があります。

このケースでは、その条件に当てはまっていたため、自転車事故による賠償金についても保険金を請求できる可能性があります。もし契約内容を確認していなければ、20万円はそのまま自己負担だったでしょう。

個人賠償責任保険は、自動車保険だけでなく、火災保険の特約やクレジットカード会員向けの保険として加入できる場合もあります。

同じ補償を重複して契約する必要はありませんが、家族の誰かが加入していると、いざというときに役立つ保険です。自転車事故だけではありません。犬の散歩中に他人にケガをさせてしまった、お店の商品を落として壊してしまった、といった日常生活の賠償事故にも役立ちます。

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