はじめに

AI関連投資が支える企業利益の成長

図

2026年の米国市場には、2007年とは異なる特徴もあります。現在はAI向け半導体、データセンター、クラウド、電力設備などへの巨額投資が続いています。それが半導体企業だけではなく、電力、建設、資本財など幅広い分野の需要につながり、企業利益を押し上げています。

S&P500企業の利益成長率も非常に高い水準にあります。その意味では、現在の相場は低金利によってPERが一斉に上昇する「金融相場」というより、利益を伸ばせる企業が評価される「業績相場」の性格が強くなっています。

高金利下で問われるAI投資の収益性とROIC

ただ、ここでも注意したい点があります。AI市場が成長することと、AI関連企業への投資がすべて株主価値につながることは同じではありません。

データセンター、半導体、クラウド、電力インフラへの投資が拡大すれば、関連企業の売上高は増えます。その一方で、設備投資額や減価償却費、人件費、資金調達コストも増えていきます。

だからこそ、「AI関連だから成長する」という判断だけではなく、その投資がどれだけの利益を生み出しているのかを見る必要があります。

そこで注目したいのが、ROIC(投下資本利益率)です。ROICは、企業が事業に投じた資本を使って、どれだけ効率的に利益を生み出しているかを見る指標です。
低金利時代には、低いコストで資金を調達できたため、事業規模を拡大すること自体が評価されやすい環境にありました。しかし、金利が上昇すれば資本コストも意識されるようになります。売上高や利益が増えていても、そのために巨額の資本を投入し続けているのであれば、本当に企業価値を高めているのかを確認する必要があります。

ROICが資本コストを安定的に上回っているのか。成長投資によってROICが改善しているのか、それとも投資額だけが膨らんでいるのか。この違いは、高金利になるほど重要になります。

銀行・不動産企業における金利上昇の影響

金利上昇の影響は、業種によっても異なります。

銀行の場合、金利上昇は貸出金利の上昇を通じて利ざや改善につながる可能性があります。一方で、急激な金利上昇は保有債券の評価損、貸倒れの増加、預金調達コストの上昇などを招くこともあります。

金利上昇なら銀行株という単純な見方ではなく、利ざやの改善幅、信用コスト、預金構成、保有証券、自己資本の状況まで見ておきたいところです。

不動産については、借入依存度によって金利上昇の影響に大きな差が出ます。有利子負債が多く、短期間で借り換える必要がある企業ほど金利上昇の影響を受けやすくなります。

一方で、好立地の物件を持ち、賃料を引き上げられる企業であれば、インフレによる収入増加が金利上昇の一部を吸収できる場合があります。物件の立地、稼働率、賃料改定力、借入金の固定・変動比率、平均残存年数、LTVなどによって、同じ不動産企業でも金利上昇への耐性は大きく変わります。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]