はじめに
「積み立て」というと、何年かたった後の総額がどれくらいになるか、という話をよく耳にします。例えば、「月3万円を積み立てて、利回り3%なら、10年後には約418万円になる」といった話です。
「そりゃ、計算をすれば、トータルでいくらになるかわかるでしょう」と、単なる計算だと感じている人もいるのではないでしょうか。
しかし、積み立てのすごさは、それだけではありません。気持ちや生活スタイルまで変わる可能性があるなど、さまざまな効果があるのです。今回は、そんな「積み立て」の効果についてお伝えします。
毎月一定額を積み立てる、ただそれだけのことだけど…
積み立てとは、毎月一定額を貯蓄や投資に回していくこと。定期預金にしていく場合は「積立定期預金」、投資信託などの投資性商品を購入していく場合は「積立投資」と呼ばれます。
どちらもシンプルで、金額と積み立て先を決めたら、あとは毎月自動的にお金を投じていきます。その都度、金額や商品を決めたり、データを分析したりする必要がないため、あっさりした資産形成法だと感じる人もいるでしょう。
ところが、積み立てには、単にお金を貯めたり増やしたりするだけではない効果があります。今回は6つ紹介します。
効果1. 意志の強さに関係なく、資産形成が進む
長生きや物価上昇への備えを考えると、将来に向けてお金を準備しておきたい人も多いでしょう。
ところが、「お金が余ったら貯めよう」「相場が下がったら、投資を始めよう」と考えていても、忙しくて始められなかったり、いざはじめても続けられなかったりすることがあります。
そこで役立つのが「積み立て」です。一度仕組みを作ってしまえば、自動的に資産形成が進みます。忙しいときも、風邪をひいて寝込んでいても、うれしくて有頂天なときでも、悲しみに打ちひしがれているときでも、基本的には状況や気分に左右されず、積み立ては淡々と進んでいくのです。
資産形成を頑張っている感覚がなくても、仕組みが勝手に前に進めてくれます。
効果2. 先に積み立てれば、生活費が自然とコンパクトに
生活費が膨らんでいると、貯蓄はなかなか進みません。お金を貯めようと節約を考えることは我慢やストレスが伴うこともあります。
そこで、「積み立て」の出番です。月に3万円、5万円などと積立預金や積立投資をすることで、先にお金が将来のために回されます。
手取り30万円の人が、月に3万円の積み立てをすれば、生活費として使えるのは27万円。この27万円を基準に暮らしていくと、しばらくしてそれが普通の感覚になっていきます。
使えるお金があらかじめ決まっていることで、本当に必要なものにお金を使うようになり、結果的にムダな支出が減ることにつながります。いわば、積み立てによって家計が自然にコンパクトになっていくのです。
効果3. 「別のお金」と考えると、使いにくくなる
心理学や行動経済学の分野には、「メンタルアカウンティング(心の会計)」という考え方があります。同じ3万円でも、「生活費のための3万円」と「遊びに使う3万円」では、人は同じようには扱わない、という考え方です。
口座に30万円があると、「30万円ある」と、ざっくりと考えてしまい、つい気軽に使ってしまうこともあるでしょう。そこで3万円を積み立てにまわせば、「この3万円は将来のためのお金」「残りの27万円は使うお金」と区別しやすくなります。あらかじめ目的別に分けておくことで、お金の使い方が整理されるのです。