はじめに

2026年11月3日に米国の中間選挙が行われます。過去19回の中間選挙後、S&P500は翌年にかけてすべて上昇したとされていますが、この経験則は今回も通用するのでしょうか。大統領選挙の4年サイクルと主要株価指数の過去データを振り返りながら、2027年の企業利益成長予想やAI関連株の動向を検証。株価調整時に注目したい投資機会と、個人投資家が備えておきたいポイントを解説します。


中間選挙後の米国株「19戦19勝」の経験則

2026年も残すところ3か月を切り、米国株式市場では11月3日に行われる中間選挙が重要なイベントとして意識されています。

中間選挙とは、大統領の4年間の任期のちょうど中間に実施される選挙で、連邦議会の下院全議席と上院の約3分の1の議席が改選されます。

選挙結果によって議会の勢力図が変われば、税制や財政政策、規制などの政策運営にも影響する可能性があります。ちょうどニュースなどでも中間選挙について目にする機会があるという方は多いのではないでしょうか。株式市場にとっては、選挙結果そのものだけでなく、政策の先行きに対する不透明感がどのように変化するのかが注目されます。トランプ大統領の発言や政策によって相場が大きく動く可能性もありますよね。

実は、米国株には中間選挙後の1年間に株価が上昇しやすいという、興味深い経験則があります。1950年以降の中間選挙を振り返ると、S&P500は中間選挙の時期から翌年の同時期にかけて、過去19回すべてで上昇しています。

19戦19勝という数字を見ると、今年も中間選挙後に米国株を買っておけば、来年にかけて利益を得られるのではないかと期待したくなるかもしれません。

もちろん、過去の統計が将来の株価上昇を保証するわけではありません。特に2026年は、AI関連企業への高い成長期待に加え、米国の長期金利上昇や中東情勢に伴う原油高など、株式市場にとって無視できないリスクもあります。

私が注目しているのは、中間選挙後の株価上昇という季節性だけではありません。2027年に向けて企業利益の成長が期待されていること、そして株価が大きく調整した場合には、業績成長が見込まれる企業やセクターを、よりよい価格で購入できる可能性があることです。

今回は、中間選挙と米国株の関係を過去のデータから振り返りながら、年末から来年に向けて、個人投資家がどのような視点で投資戦略を考えればよいのかを整理していきたいと思います。

大統領任期2年目の株価調整と3年目の上昇傾向

まず、米国株と大統領選挙の4年サイクルについて確認してみましょう。

米国では大統領選挙が4年ごとに行われるため、株式市場でも大統領の任期に合わせた4年間の値動きが研究されています。

一般的に、大統領就任1年目、2年目、3年目、4年目では、株価の平均的な上昇率に違いが見られます。Nasdaq Dorsey Wrightが2026年8月に公表したデータによると、S&P500の平均年間リターンは、大統領就任1年目が約7.0%、2年目が約3.7%、3年目が約14.0%、4年目が約8.1%となっています。このうち、最も平均リターンが低いのが中間選挙の行われる2年目で、最も高いのが中間選挙翌年に当たる3年目です。

2026年は大統領就任2年目、2027年は3年目に当たります。

つまり、過去の統計に基づけば、2026年は株価が不安定になりやすい一方、2027年は相対的に上昇しやすい年に当たるということになります。

さらに、Fidelity Institutionalが1961年から2024年までのデータを分析したところ、大統領就任2年目のS&P500の平均最大ドローダウンは19.4%でした。

最大ドローダウンとは、一定期間において、株価が高値から安値までどの程度下落したかを示す指標です。

同じ分析では、就任1年目が-12.3%、3年目が-11.6%、4年目が-13.3%となっており、中間選挙年の下落幅が最も大きい傾向が確認できます。

図

中間選挙年は年間の平均リターンが低いだけでなく、途中の下落幅も大きくなりやすいという点にも注目したいところです。年間を通して株価が上がらないということではなく、途中で大きな調整を経験する可能性があると考えられます。一方、中間選挙翌年の平均リターンは4年間で最も高く、平均最大ドローダウンも比較的小さくなっています。

この違いを踏まえると、中間選挙年の株価調整を、単に避けるべきリスクとして捉えるのではなく、翌年の投資機会につながる可能性がある局面として考えることもできそうです。
 
ただし、これらは異なる期間や算出方法による過去の平均値です。2026年の株価が必ず19%程度下落するという意味ではありませんし、2027年に14%上昇することを予測するものでもありません。

重要なのは、統計を売買の絶対的なルールとして使うのではなく、投資の準備をするための参考材料として活用することです。

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