はじめに

中間選挙後の主要株価指数の上昇実績

では、中間選挙後の1年間について、もう少し詳しく見てみましょう。

1950年から2022年までの中間選挙19回を対象に、選挙後の約1年間のS&P500のパフォーマンスを調べると、すべての期間でプラスとなっています。

ここで注意したいのは、集計の起点を選挙当日とするのか、11月初めとするのか、あるいは月次データを使うのかによって、平均上昇率が変わることです。したがって、19勝0敗という傾向は複数の集計で確認される一方、平均上昇率については算出期間や価格データの取り方を揃えて比較する必要があります。それでも、中間選挙後の1年間に米国株が上昇しやすかったという傾向は、注目に値すると思います。

この傾向はS&P500だけに限りません。ダウ工業株30種平均について、1950年以降の中間選挙年の11月から翌年10月までを比較したデータでは、19回すべてでプラスとなり、平均上昇率は15.4%でした。

ナスダック総合指数についても、1974年以降の13回の中間選挙サイクルでは12勝1敗、平均上昇率は25.2%となっています。唯一マイナスだったのは、1986年11月から1987年10月にかけての期間です。この期間には、1987年10月のブラックマンデーが含まれています。ブラックマンデーとは、1987年10月19日に米国株式市場が歴史的な急落に見舞われた出来事です。このような大きな市場ショックが発生した場合には、中間選挙後という経験則があっても株価が下落することがあるわけです。

ナスダック100については、1986年以降の中間選挙年11月から翌年10月までの10期間を確認すると、すべてプラスとなっており、平均上昇率は34.4%でした。

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半導体関連株の代表的な指数であるSOX指数も、2002年以降の6期間すべてでプラスとなり、平均上昇率は27.1%でした。

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ただし、ここで見逃してはいけないのが、指数によってデータの対象期間が異なるということです。

S&P500やダウ平均は1950年以降の長期データですが、ナスダック100やSOX指数は比較できる期間が短く、サンプル数も限られています。特に半導体関連株は、ITバブル、金融危機、スマートフォンの普及、生成AIの拡大など、時代によって成長を支える要因が大きく変わってきました。そのため、過去の平均上昇率が高いからといって、今後も同じ程度のリターンを期待するのは慎重であるべきでしょう。

過去の平均値は一部の大幅上昇年に押し上げられている場合もあります。ナスダック100では1998年11月から1999年10月にかけて88.3%、SOX指数では2002年11月から2003年10月にかけて70.7%という大幅上昇が見られました。

例えば、ラッセル2000は米国の小型株を中心とする指数ですが、1990年以降の中間選挙年11月から翌年10月までの9期間では7勝2敗、平均上昇率は14.7%でした。大型株だけでなく、小型株にも上昇機会があったことがわかります。

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ただし、小型株は大型株に比べて財務基盤が弱い企業も多く、金利上昇や景気減速の影響を受けやすい傾向があります。そのため、中間選挙後の季節性だけを理由に小型株へ投資するのではなく、企業業績や財務状況、資金調達環境を確認することが重要です。

それでも、S&P500やダウ平均だけでなく、ナスダック総合指数、ナスダック100、SOX指数、ラッセル2000など、幅広い指数で中間選挙後の上昇傾向が見られることは、投資戦略を考えるうえで参考になります。

中間選挙後に株価が上昇しやすい背景

では、なぜ中間選挙後に株価が上昇しやすい傾向があるのでしょうか。

政治的不透明感の後退と投資家心理

考えられる理由の一つが、政治的な不透明感の後退です。中間選挙前には、議会の勢力図がどう変わるのか、税制や財政政策、規制の方向性がどうなるのかなど、政策運営に関する不確実性が高まりやすくなります。

企業にとっても、政策の先行きが見通しにくい局面では、設備投資や事業計画を慎重に検討する要因になり得ます。

投資家も、政策変更による企業業績への影響を見極めようとするため、積極的な投資を控えることがあります。しかし、選挙が終われば、議会の構成が明らかになり、今後の政策運営について一定の見通しが立てやすくなります。

もちろん、選挙後も政策を巡る対立や不透明感が残ることはありますが、少なくとも選挙結果がわからないという不確実性は解消されます。こうした変化が、投資家心理の改善につながる可能性があります。

政治から企業業績・金融政策へ移る市場の関心

選挙後には市場の関心が政治イベントから企業業績や金融政策、経済成長へと移りやすくなることも考えられます。ただし、選挙後に株価が上昇してきた理由を、政治的な不透明感の後退だけで説明することはできません。

米国株は長期的に企業利益の成長とともに上昇してきた市場でもあります。

そのため、中間選挙後の株価上昇には、選挙サイクルだけでなく、その時々の景気や金融政策、企業業績などが影響していると考えるべきでしょう。

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