はじめに
「私の家計、投資に偏りすぎていないでしょうか?」
積立投資を継続していくにつれ、膨らんでいく投資資産のどこまでが適正なのかという質問をよくいただきます。今回は適切な投資割合について考えていきます。
見直しの目安は「100-年齢」投資資産の適切なリスク割合
投資は長期で続けることが大切。そう信じて積立投資を続けてきた結果、いつの間にか家計における投資割合が増えすぎてしまい、「リスクを取りすぎているのではないか」と不安に感じることはないでしょうか。
また、投資が好調なだけにやめる決心がつかず、「いつまでお金を使わずに投資に回すべきなのだろう」と疑問を口にされる方もいらっしゃいます。
2026年12月からは、一定の要件を満たす人を対象に、iDeCoの加入可能年齢が70歳未満まで引き上げられる予定ですし、NISAも年齢だけを理由に利用できなくなる制度ではありません。
長く投資を続けられる環境が整う一方で、年齢を重ね、資産が増えてくると、これからも同じように投資を続けてよいのか迷うこともあるでしょう。
そんなときに考えたいのは、投資を続けるか、やめるかという二者択一ではありません。自分の暮らしや将来の資金計画に照らして、今の投資割合が適切かどうかを見直すことです。
投資に回す資産の割合を考える際、ひとつの目安になるのが「100-年齢」という考え方です。
100から自分の年齢を引いた数字を、株式などのリスク資産の割合の目安にするものです。例えば、50歳なら「100-50」となり、リスク資産の割合は50%が目安。60歳なら「100-60」となり、40%が目安という具合です。
これはあくまでも経験則に基づく目安ではありますが、年齢を重ねると、退職などによって収入が減り、資産を取り崩す時期が近づいていくので年齢に応じてリスク資産の割合を下げていくという発想が背景にあります。
ただし、これがすべての人に適した割合というわけではありません。家族構成や勤め先、年収やキャリアプラン、公的年金の見込み額や預貯金の額、退職後も働く予定があるか、今後どのくらいお金を使うのかなどによって、適切な割合は異なります。
さらに最近は、運用しながら資産を取り崩す「資産寿命を延ばす」ことも注目されており、年齢を重ねたからといって一律にリスクをなくせばよいという単純な話ではありません。
「100-年齢」は、あくまで考え始めるための目安です。実際には、将来必要となる資金や収入の見通し、値下がりにどこまで耐えられるかを踏まえて判断することが大切です。
また、投資割合はNISAやiDeCoの口座だけで判断するのではなく、預貯金も含めた家計全体の金融資産で考えます。
例えば、金融資産が3,000万円あり、そのうち2,000万円を株式投資信託で運用している場合、リスク資産の割合は約67%です。60歳であれば「100-年齢」という目安と比べると、かなり積極的な運用をしていることが分かります。
もちろん、この割合を超えているからといって、すぐに株式投資信託を売却する必要はありません。むしろ、自分がどのくらいのリスクを取っているのかを把握することから始めましょう。
5%下落でいくら動く? 保有資産の金額変動を把握する重要性
割合を把握した後は、「金額」に注目してみましょう。投資をしていれば、市況によって資産の上がり下がりがあります。市場の変動に一喜一憂しないことが長期投資のポイントではありますが、あえて「気にしてみる」ことも大切です。
例えば、毎月、投資信託の運用レポートや口座の資産残高を確認してみましょう。株式投資信託を中心に2,000万円を運用している場合、5%下落すると100万円のマイナスになります。3%でも60万円です。
繰り返しになりますが、株式投資信託には値動きがあり、こうした下落が起こることは珍しくありません。
給与収入が安定していて、当面の生活費にも余裕があれば、5%の下落による100万円のマイナスを受け止めやすいかもしれません。一方、定年が近づき、今後の生活の見通しが立っていなければ、不安を感じることもあるでしょう。大切なのは、自分にとってその金額の変動がどの程度の負担になるかを考えることです。
スーパーで買い物をするときには、節約を意識して1,000円、2,000円の違いを気にするのに、投資残高は普段あまり確認していないという方もいるのではないでしょうか。
投資は毎日のように値動きを確認する必要はありませんが、長い間ほったらかしにしてよいわけでもありません。月に一度など、定期的に運用レポートを確認し、資産がどのくらい増減しているのか、家計全体に占める投資の割合がどう変化しているのかを把握しておきましょう。
資産が増えた結果、リスク資産の割合が高くなっていることもあります。今の資産配分が、市場の変動によってどのくらい動くのか、それが自分の気持ちや暮らしに合っているかを確認する機会を持ちたいものです。