はじめに

病気への備えというと、まず思い浮かぶのは医療保険やがん保険ではないでしょうか。入院や手術にかかる費用、がんと診断されたときの一時金など、治療に必要なお金については比較的イメージしやすいものです。

でも、もし治療が長引き、仕事を続けることができなくなったらどうでしょう。医療費だけでなく、毎月入ってくるはずだった収入そのものが減ってしまうかもしれません。

働けなくなるというリスクは、亡くなったときのリスクに比べてなかなか想像しにくいものですが、長い療養生活の中で家計に大きな影響を与えることがあります。今回は、就労不能保険が本当に必要なのか、公的保障も踏まえながら考えてみたいと思います。


病気になったとき、本当に心配なのは治療費だけ?

病気への備えというと、まず医療費を考えます。

「入院したらいくらかかる?」「手術をしたら?」「がんになったら治療費はいくら?」そのため、医療保険やがん保険には関心を持っていても、「働けなくなったときの保障」については、あまり考えたことがないという方も少なくありません。

ですが、よく考えてみると、病気になっても毎月の生活費はなくなりませんし、住宅ローンや家賃、食費、光熱費、子どもの教育費、車の維持費、通信費など、生活している限り支出は続きます。

医療費については、健康保険や高額療養費制度があります。高額療養費制度では、医療機関などで支払う自己負担額が一定額を超えた場合、超えた部分が支給されます。自己負担限度額は年齢や所得によって異なりますが、手厚い公的保障が家計を支える大きな助けになります。

病気になったとき、治療費がいくらかかるかも大事ですが、収入がいくら減るのかにも目を向ける必要があります。

会社員には傷病手当金がある

もちろん、公的な保障もあります。会社員など健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで仕事を休み、一定の要件を満たした場合には「傷病手当金」が支給されます。

協会けんぽの場合、1日あたりの支給額は、おおむね支給開始前の標準報酬月額を基に計算した金額の3分の2で、支給期間は支給開始日から通算して1年6か月です。

これは本当にありがたい制度です。たとえば、月給が30万円だからといって、病気で休んだ翌月から収入がゼロになるわけではありません。ただし、ここで考えておきたいのは、これまで30万円の収入で生活していた家庭で、収入がそのまま維持されるわけではないということです。

さらに、療養が長期間になれば、傷病手当金の支給が終わった後のことも考えなければなりません。

病気やケガによってこれまでどおりに働くことが難しくなり、要件を満たした場合には障害年金を受け取れる可能性もありますが、「仕事ができない=必ず障害年金を受け取れる」という制度ではありません。初診日や保険料納付の状況、障害の程度など、いくつかの要件を満たす必要があります。

だからこそ、公的保障を知ったうえで、自分の家庭ではいくら不足するだろう?と考えることが大切になります。

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