はじめに

「コアウィーブショックは氷山の一角ではないか」。僕は先日、そんな問題提起をしました。AI向けの計算設備を貸し出す米コアウィーブの信用不安を、一社だけの問題として片づけてよいのか。水面下には、AIブームを支える巨額のお金を巡る、もっと大きな問題が隠れているのではないかと考えたからです。


信用不安の正体――先行する「莫大な設備投資」と回収の遅れ

信用不安とは、簡単にいえば「貸したお金を返してもらえるだろうか」という心配です。AIの開発やサービスの提供には、高性能な半導体や、それを大量に動かすデータセンターが必要です。その建設には莫大な資金がかかります。将来の収入を見込んで投資しても、お金の支払いは先にやってきます。

新興企業なら、資金繰りへの不安もあるでしょう。でも、グーグルやアマゾンほどの大企業なら大丈夫。そう思っていた方も多いかもしれません。ところが、直近の決算で市場が突きつけたのは、大企業にも「その投資を続けて、十分に稼げるのか」という問いでした。

10月29日の米国市場では、グーグルの親会社アルファベットの株価が約13%下落しました。同社の7~9月期決算で、クラウド事業の売上高は前年同期の約2倍に増えています。AIへの需要が消えたわけではありません。それでも投資家は売りました。

注目したいのは、フリーキャッシュフロー、略してFCFです。本業で得た現金から設備投資への支出を差し引いたもので、投資をした後にどれだけ現金が残るかを示します。

アルファベットは、このFCFが2四半期続けて赤字になりました。7~9月期は、本業で約423億ドルの現金を生み出した一方、設備投資に約514億ドルを支出しています。制裁金の支払いという一時的な負担もありましたが、投資が現金創出を上回っている点は重く見る必要があります。

しかも、検索広告の収入は市場の期待に届きませんでした。AIの未来に向けた支出が膨らむ一方、その支出を支える既存事業には物足りなさが残ったのです。クラウドの高成長だけでは、投資家を安心させられませんでした。

アマゾンも同様です。クラウド事業のAWSは約39%の増収でしたが、直近12カ月のFCFは約424億ドルの赤字です。成長していることと、投資に使うお金を自力で賄えることは、同じではありません。

さらに、29日の時間外取引ではインテルが一時約23%下落しました。ただし、こちらにはPC需要の低迷や工場事故による供給制約、先行き見通しの弱さという固有の事情があります。これまで一括りに買われてきたAI・半導体関連株も、それぞれの事業や財務を確かめる段階に入ってきたのでしょう。

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