はじめに
貨幣の「十円玉」と「五円玉」年代によって、違いがあるのを知っていますか?
今は珍しくなったギザ10や、2種類の五円玉……よく見てみると、時代によって秘密が隠されていました。
「十円玉」は高級品!!
円の縁にギザギザの凹凸がつけられている十円玉「ギザ10」。40代以上の人は、見覚えがあるはずです。30代でも珍しい十円玉として覚えがありますよね。
ギザ10が製造されていたのは1951(昭和26)年から1958(昭和33)年の7年間。
貨幣にギザギザがつけられた主な理由は
①貴金属の貨幣の場合に外縁が削り取られるのを防ぐため
②当時の最高額面の貨幣であることを示すため
1955(昭和30)年に五〇円玉が登場するまで、十円玉は硬貨の中で最高額面の貨幣だったのです(百円は〝札〟だった)。
また、ギザ10が製造されなくなった理由は、
①十円玉よりも高い貨幣が次々と造り出され、最高額面ではなくなった
②目の不自由な人が、昭和32年に発行された百円(日本初の百円玉、ギザ有り)との判別が困難になった
ためです。
このギザギザを極印する技術は、現在の偽造防止貨幣の製造にとても役立っています。現在の五〇〇円玉を例に挙げると、側面には斜めギザを採用しています。これによってさらに偽造防止力が高まるといわれています。
五円玉は2種類ある
穴が空いている現在の五円玉は1949(昭和24年)から製造されているのですが、書体が年代によって違います。
こちらが、1949(昭和24)年~1958(昭和33)年の五円玉。書体は楷書体です。
1959(昭和34)年以降、書体は「ゴシック体」に変わりました。
1949(昭和24)年に発行された五円玉(楷書体)は、1959(昭和34)年の貨幣形式統一を図るために、書体をゴシック体に改めました。
楷書体の五円玉は、毛筆を模しているということで、マニアの間では「フデ五」とも呼ばれています。
意外なところに金額表記!
五〇〇円玉は2000(平成12)年以降、サイズはそのままに、原材料を変更。最新の偽造防止技術を施し、生まれ変わりました。
新五〇〇円貨幣には、旧五〇〇円貨幣になかったいくつもの最新技術が使われていますが、そのひとつがこちら。
貨幣をある角度から見ると、「0」の中に「500円」の文字が浮かび上がるのです。
この技術を潜像(せんぞう)といい光の入射角、反射角による明暗の差を利用したもの。イギリスの2ポンド貨などにも使用されていますが、流通貨幣では世界でも数例だといわれています。
意外と知らない貨幣のトリビア、いくつ気がついてましたか? 財布の中の貨幣を思わずチェックしてしまいますね。
造幣局さいたま支局
埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-190-22、さいたま新都心駅から徒歩12分、9時〜16時30分(入館は16時まで)、入館無料、TEL:048-645-5899
文=佐藤成美(風来堂) 撮影(造幣局さいたま支局)=今田 壮(風来堂)