はじめに

FANG(ファング)という略語をご存知でしょうか。2015年に米国の株式評論家ジム・クレイマー氏が作り出した略語で、米国の株式市場におけるまさに「注目株」(注目の銘柄)をまとめた言葉でした。

具体的にはフェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)、ネットフリックス(Netflix)、グーグル(Google:注)の4企業を指しています(注:2010年10月よりアルファベット傘下)。

ちなみに英単語のfangには「牙(きば)」という意味があります。いっぽう日本語の「牙」には「牙をむく」(攻撃の意思を露わにする)という慣用句もあります。そこで筆者個人としては、FANGと呼ばれる企業に対して「攻めの経営を行う企業」という印象を持っていたりします。

さてそんな「牙向く企業」のうち、2015年の時点ではネットフリックスだけ日本での知名度が低かったように記憶しています。ネットフリックスが米国で創業したのは1997年のこと。創業当初はオンラインDVDレンタルを行っていた同社ですが、2007年には動画配信ビジネスに移行。日本での動画配信ビジネスを始めたのが、まさに略語FANGが登場した2015年だったのです。ITやビジネスに詳しい人はともかく、当時の一般的な日本人にとって、ネットフリックスは目新しい企業名でした。

一方で経済系のメディアでは、FANGに便乗した略語が続々と登場しています。そんな新略語に登場する銘柄にも、日本人にとって目新しい名前がちらほら見受けられます。今回は「FANGに便乗した略語」と、その略語に登場する「目新しい企業名」を観察してみましょう。


牙むく企業(FANNG/FAANG/CAAFANNG)

まずは「FANGに便乗した略語」を観察してみます。このうち最もメジャーなパターンは、FANGに何か別のアルファベットを足すパターンだと思われます。つまり、「牙むく4企業」を「牙むく5企業」などにするパターンです。

まず注目したいのは「FANNG」という表現。FANGにNを加えた形をしています。このNとは、半導体メーカーの「エヌビディア(NVIDIA)」を表しています。エヌビディアがどんな会社なのかは、後で簡単に触れましょう。

それから「FAANG」という表現もあります。こちらはFANGにAを加えた形。このAとはアップル(Apple)を表しています。またFAANGに含まれるN(ネットフリックス)の代わりにマイクロソフト(Microsoft)のMを加えた「FAAMG」という表現もあります。アップルとマイクロソフトについては、説明の必要はないでしょう。

そしてFANGの造語者であるジム・クレイマーは、2017年に自身のツイッターアカウントで新たに「CAAFANNG」という略語を提案しました。これはコムキャスト(Comcast)、アマゾン、アバゴ・テクノロジー(Avago Technologies/現ブロードコム)、フェイスブック、アップル、ネットフリックス、エヌビディア、グーグルを表しているのだそう。ただし残念ながら、CAAFANNGは世間でそれほど話題にはなりませんでした。

ともあれこのような便乗表現は、FANGとされる4企業の好調が維持される限り、今度もしばらく登場し続けるかもしれません。

独自路線の略語(MANT/SLAW)

いっぽうFANGのアレンジからは離れて、独自の命名を試みるパターンもあります。

例えば「MANT」という略語もそのひとつ。具体的にはマイクロソフト、アップル、エヌビディアと、電気自動車メーカーのテスラ(Tesla)をまとめた言葉です。経済メディアでは、FANG自体をアレンジする代わりに「FANG/MANT」のような列挙表現もよく見かけます(例:日本経済新聞2017年7月4日「いつまで? 日本版『FANG・MANT』相場(窪田真之)」など)。

また未上場企業に注目する略語も登場しました。そのひとつはロイターが紹介した「SLAW」という略語です(参考:ロイター2018年1月6日「コラム:今年の注目は『SLAW』銘柄、上場控える革新的企業」)。

具体的には音楽配信サービスのスポティファイ(Spotify)、配車サービスのリフト(Lift)、民泊仲介サービスのエアビーアンドビー(Airbnb)、共用オフィスサービスのウィーワーク(WeWork)の4社をまとめた言葉です。このうちリフトとウィーワークは、日本ではまだ馴染みが薄いかもしれません。

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