はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。
2019年10月には消費税が10%に上がる予定です。2014年に0.8%に引き上げられた際には、あまり大きな混乱もなかったように思うのですが、先生からみても想定通りでしたでしょうか? 私は直前に焦って不要なものを買ってしまうなど行動には気をつけようと思っています。今後も日本ではどんどん消費税が上がるのでしょうか?
(30代前半 既婚・子供なし 男性)
野瀬: ご質問ありがとうございます。
消費税8%はどんな影響を及ぼしたか?
消費税8%によって、私の仕事でも多少の影響はありましたが、もともと予定されていたものが実行されただけですので、税理士の業界でも大きな混乱はなかったように思います。
小売店などは値札の表示問題やバーコードの張り替えなどが大変だったようですが、こちらもみなさん入念な準備をされていたので、とくに大きな問題は起きませんでした。
一方、政府の家計調査では消費税8%導入後、消費が前年割れしました。これはいわゆる「駆け込み需要」の反動がきたのでしょう。
その後、消費税10%への引き上げは2度延期され、2019年10月が予定されています。
今後も消費税はあがるのか?
「今後も日本ではどんどん消費税が上がるのでしょうか?」というご質問ですが、結論から言うと「必ず上がる」でしょう。
政府は景気の動向を見ながら判断すると言いますが、そもそも景気動向とは非常に曖昧なものです。たとえ消費がマイナス10%になったとしても、「消費がマイナス11%だった○○年の○○月よりは持ち直している!」という表現もできるわけです。
ただ、個人的に気になっているのは「消費税の増税は規定路線になっていて、その分を当てにして概算要求が今後もどんどん膨らんでいくのでは?」という点です。今の日本の借金を考えると「増税+歳出削減」してもどうなるか、というレベルです。
今の日本の借金(正確には高齢化による社会保障費の伸び)は、もはや消費税10%でもにっちもさっちもいかない状態にあるので、10%といわず消費税もまだまだ上がっていくでしょう。
最終的には欧州諸国の20~25%ぐらいに落ち着くのではないでしょうか?
駆け込み購入は控えて
これらの国々は日本同様に高齢化問題を抱えています。おそらく先進国がある程度の社会保障を維持するのに必要な水準がこの20~25%なのだと思います。
欧州諸国と異なり、日本は内需大国なので、本来であればもう少し低い15%程度で社会制度を維持できると個人的には考えていますが、大盤振る舞いの各制度を作ってしまった以上、制度を変えることは難しいため20~25%が最終的なラインになるでしょう。
「消費税が今の2倍から3倍になると大変だ!」と思うかもしれませんが、家計に占める大きな出費である家賃をはじめ医療費や学費には基本的に消費税はかからないので、影響は思っているほど大きくありません。
ただし相談者の方もおっしゃるように「駆け込み買いしなきゃ損!」と踊らされ、必要ではないものを購入してしまうことには注意されてください。