はじめに
お金の相談にくるタイミングが多いのは、結婚したとき。結婚式が終わって新居の生活に落ち着く頃に、マイホームはどうしよう? 子どもが生まれたら教育費の準備は? など家計について考える機会が増えてきます。そして、最初の相談にはほとんどのご夫婦が夫か妻かどちらかお一人でいらっしゃいます。
今回、相談にいらっしゃったのは、結婚後に仕事を辞め専業主婦になった32歳のA子さん。結婚前は年収300万円でメーカー企業で働いていたそうです。相談には、ご夫婦ではなくお一人。夫婦で来なかったのは新婚さんによくみられる「お金の話がタブー」の壁があったからでした。
入籍して夫婦になってもお金の話がしづらい
結婚しても「お金の話」はしづらいという新婚さんは少なくありません。入籍はしたけれど、彼氏と彼女の延長で相手の懐事情に首をつっこんでいいのか悩むようです。
なかには、お付き合いをしているときから、「年収いくら?」「貯蓄はいくらあるの?」と気を使わず話合えるカップルもいます。お金の話は家族になってからと思っていても、結婚した途端に話せるものではありません。
専業主婦になったが、夫から食費をもらえない
今回相談にいらっしゃったA子さんは、家事や育児に専念したいと結婚後すぐに退職し専業主婦になりました。職場は環境も人間関係もよかったので退職は妊娠してからでもと思ったそうですが、夫に相談したところ、すぐに辞めてもいいのでは?と言われ迷わず決めたそうです。
相談は、結婚して3カ月経っても夫から食費がもらえず自分の貯蓄を切り崩し、あと半年で底をつくといった不安。食費をちょうだいと何となくお金の催促しづらくて「ファイナンシャルプランナーから夫にお金を渡すように話してもらえませんか?」とのことでした。
夫の年収も貯蓄額もわからない
A子さんは結婚して夫の貯蓄どころか年収について聞いたことがないそうです。家賃や光熱費は夫が支払っているけれど、食費はスーパーに買い物に行くA子さんの貯蓄から捻出。
A子さんは結婚してから「貯蓄はどれくらいある?」と何度か話を切り出したことがあるそうです。しかし「貯蓄はちゃんとしているから心配しなくていい」と言われるだけで話しづらい雰囲気になり、何度か同じようなことがあってお金の話がタブーな関係になってしまったようです。
夫の同僚から聞く感じだと年収は800万円ぐらい。年収はいい方なのに何でお金の話を前向きにしてくれないのかわからないそうです。A子さんの夫に限ったことではなくお金の話をしたがらない男性は意外と多いのです。
A子さんの話で感じたのは、貯蓄がいくらあるのか夫婦で共有できれば理想だけれど、まずは生活費を渡すことについてどう考えているのかが重要です。筆者も同席の上、3人でお金のことを話す場を設けることを提案しました。