インバウンド(訪日外国人)数が順調に増加しています。日本政府観光局(JNTO)が発表した2017年の訪日外国人数は前年比19.3%増の2,869万人となりました。2年連続して年間400万人超の増加となった計算です。

このペースでいけば、2017年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」の2020年訪日外国人旅行者数4,000万人の達成も視野に入ってきたといえるでしょう。

しかし、現状にあぐらをかいてもいられません。日本の観光産業には、まだ課題も残っています。そして、その課題ゆえに成長の余地がある企業もまた存在するわけです。


観光の国際競争力は世界4位に

2017年の訪日外国人旅行消費額は同17.8%増の4兆4,161億円となりました。訪日外国人1人当たり消費額は、「爆買い」一巡の影響もあり、2017暦年ベースでは同1.3%減の15.3万円でしたが、7~9月期は前年同期比6.6%増の16.5万円、10~12月期が同3.4%増の15.2万円と、2四半期連続してプラスとなっています(下図)。

また、世界経済フォーラムがまとめた観光の国際競争力で、日本は4位まで浮上しています(下表)。「観光資源」「安全性」「衛生」「各種インフラ」などで評価が高くなっています。

2007年のインバウンド数は年間835万人で世界28位でしたが、2017年には2,868万人と世界で11位前後まで上昇したと推定されます(2016年の10位はタイで3,258万人、11位はオーストラリアで2,812万人)。今や日本は世界でも有数の観光立国となったと過言ではないでしょう。

外国人はナイトライフにブーイング

しかし、訪日外国人が日本での不満の1つに「ナイトライフを楽しむ場所が少ない」という回答が多いのが現状です。そうした中で、大阪府は事業の立ち上げなどに必要な経費(上限500万円)を補助する「ナイトカルチャー発掘・創出事業」を2017年8月に募集。11月に事業補助金を交付決定しました。

補助金の交付が決定した7事業は、「芸者、侍文化を元にした非言語エンターテイメントショー」、「チャンバラエンターテイメントSHOW」、「忍者ショーと和楽器の共演を楽しむ忍者ナイトクルーズ」、「文楽人形SHOW」など、訪日外国人にもわかりやすい日本の文化を取り入れたショーのような体験型のエンターテインメントが多いです。

さらに、観光庁も2017年10月から「楽しい国 日本」実現に向けた観光資源の活性化に関する検討会議を開催。2018年3月までに提言を取りまとめ、2019年度の予算概要に反映する予定です。今後、インバウンドの「コト消費」「ナイトタイムエコノミー」が注目されていくものとみられます。

ルール明確化で上場企業も手がけやすく

ナイトエコノミーマーケットは風営法の関連もあり、上場企業が手がけにくいマーケットでした。しかし、今回、ルールが明確となったこともあり、上場企業も手がけやすくなったといえるでしょう。

クラブ、バー、ダーツ・ビリーヤードなどを運営している企業、具体的にはハブ(証券コード3030)、ジェイグループホールディングス(3063)、DDホールディングス(3073)、ラウンドワン(4680)に注目しています。

また、「特定遊興飲食店の許可」が前提となりますが、従来24時以降の公演が禁止されていたライブハウス、ショーなどの運営も深夜に行われるケースが増えてくると思います。この分野はホテルなどがビジネスチャンスとしてとらえているようです。

さらに、深夜に車両点検などを行うために24時間営業が難しい東京メトロの代わりの公共交通機関として、深夜バスの運行が期待できます。都心部でバスやコミュニティバスを運行している富士急行(9010)などのビジネスチャンスが広がると考えられます。

(文:いちよし経済研究所 企業調査部 鮫島誠一郎)