はじめに
自分でものを作ることは、豊かな暮らしを作ることでもあります。製作に熱中するうちに、心身に宿る充実感。完成したものを目にするたびに、湧き上がる満足感。そんな気分の高まりが、日々をカラフルにします。そしてもちろん、欲しいものを手に入れるための出費を抑えられることも大切なポイントです。
今回紹介する引き出しボックス作りは、「もの作りをした経験がないから……」とか「興味はあるけど、いろんな道具や材料を揃えてまでは……」と、消極的になっている人にとっても、チャレンジしやすいテーマだと思います。道具も材料もとてもシンプル。完成後には、身のまわりの小物類を整理できて実用的です。
およそ1000円の針葉樹合板が1枚あれば、この引き出しボックスをふたつ作れます。サイズは幅450×奥行200×高さ118㎜です。
材料と道具の選び方
主な材料は合板です。合板とは薄い板を貼り合わせたもので、俗にベニヤとも呼ばれます。いろんな種類、厚さがありますが、今回は9㎜厚の針葉樹合板を使います。針葉樹合板は、木目がくっきり出たラフな表面が特徴です。最近はそのラフな雰囲気をあえてそのままインテリアに取り入れるのが流行で、この引き出しボックスも無塗装のまま針葉樹合板の風情を生かす狙いです。
他の合板では、ラワン合板やシナ合板がポピュラーです。どちらもムラのない表面を持ち、ラワン合板はやや黒みがかって粗野な雰囲気、シナ合板は白っぽくて上品な雰囲気です。これらの合板を使い、ここで紹介する引き出しボックスを作るのもいいでしょう。その場合は、塗装することで仕上がりが大幅にグレードアップするはずです。
針葉樹合板は一般的に910×1820㎜の大きさで販売されています。9㎜厚の価格はだいたい1000円くらい。910×1820㎜の板が1枚あれば、ここで紹介する引き出しボックスをふたつ作れます。ちなみにラワン合板やシナ合板はハーフサイズで販売されていることも多く、この引き出しボックスをひとつ作るには、ハーフサイズを購入するのが効率的です。
合板の接合には、接着剤とともに隠しクギを使います。隠しクギの長さはいろいろありますが、ここでは22㎜を使います。
使用する道具はカナヅチとドライバーだけ。
最初に合板を部材に切り分けますが、これはホームセンターのカットサービスを利用するのが手軽でオススメです。規模が大きいホームセンターなら有料カットサービスを実施している店が多く、材料を希望のサイズに切り分けてくれます。そのため、合板はカットサービスを実施しているホームセンターで購入するとよいでしょう。
部材を切り分けたら、接着剤とクギを使って組み立てます。今回使用するクギは、隠しクギという特殊なタイプです。打ち込んだ後にクギの頭を叩き折るので、クギ痕が目立たず、すっきりと仕上がります。
部材を組み立てたら、引き出しに取っ手をつけて完成です。取っ手はお気に入りのものを選びましょう。100円ショップで探して低コスト路線を突き進むもよし、アンティーク雑貨店などでこだわりの品を手に入れるもよし。合板の端材を取っ手としてつけるのもありです。市販の取っ手をつける場合には、ドライバーでネジを締め込むのが一般的な方法です。
仮にホームセンターのカットサービスを活用し、取っ手に合板の端材を使うとすれば、使用する大工道具はカナヅチだけです。その他に必要なものは、背板や底板の取り付け位置を記すための定規や筆記用具、はみ出た接着剤を拭き取る布くらいです。
ボックス本体の部材です。上が天板と底板(200×450㎜)、中が背板(100×430㎜)、下が側板(100×200㎜)。
引き出しひとつ分の部材です。左上が前板と先板(97×210㎜)、左下が側板(97×165㎜)、右が底板(165×190㎜)。
まず本体を組み立てます。側板に背板をつける位置を記します。今回は側板の後端から5㎜内側にしました。後端ぴったりにするとズレた場合に粗が目立つからです。
背板の側面に接着剤をまんべんなく塗り広げます。