はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する井戸美枝氏がお答えします。

投資信託を特定口座で毎月3万円以上積立てしていますが、つみたてNISAにしたほうが良いのか悩んでいます。仮につみたてNISAにした場合、現状の特定口座は解約したほうが良いのか、解約しないでそのまま運用したほうが良いのか、ご教示いただきたく存じます。ちなみに株もやっていますが、未だNISA枠は使っていません。

〈相談者プロフィール〉
・男性、47歳
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(マンション)
・住んでいる地域:東京
・年収:650万円
・毎月の支出目安:25万円


井戸: ご質問ありがとうございます。

つみたてNISAの大きなメリット“非課税”

毎月3万円以上、投資信託を特定口座で買い付けていらっしゃるとのことですが、つみたてNISAを利用した方が有利になる場合が多いでしょう。

ただし、質問を下さった方の運用方針によっては、特定口座で運用するしかないケースもあります。詳しくご説明しましょう。

つみたてNISAは、投資した年から20年間、運用益が非課税になる制度です。通常は20.315%の税金がかかりますので、同じ運用益でも、実際の手取りに大きな差が生まれます。

たとえば、50万円の利益が出た場合。特定口座では約10万円の税金を納める必要があり、手取りは40万円弱になりますが、つみたてNISAでは非課税。50万円の利益がすべて手に入ります。

このように税制優遇されているつみたてNISAですが、投資できる金額は年間40万円まで。毎月一定額を積み立てたとすると、月額3万3,300円程度ですね。質問をくださった方は、毎月3万円以上の積み立てをされているとのことですので、つみたてNISAの上限内に収まっているかもしれません。

仮に毎年40万円の投資を20年間続けると800万円になります。つまり、つみたてNISAでは「最大800万円までの投資を非課税で運用できる」ということになります。かなり大きな金額です。

投資できるのは基準を満たした投資信託だけ

注意していただきたいことは、つみたてNISAは金融庁が定める基準を満たした投資信託だけが対象だということ。すべての投資信託を買い付けられるわけではありません。

つみたてNISAの対象となる投資信託は、以下の条件などをクリアする必要があります。

・販売手数料(購入時手数料)が無料であること
・解約時にかかる手数料が無料であること
・国内型のインデックスファンドは信託報酬が税抜きで0.5%以下
・海外型のインデックスファンドは信託報酬が税抜きで0.75%以下
・国内型のアクティブファンドは信託報酬が税抜きで1.0%以下
・海外型のアクティブファンドは信託報酬が税抜きで1.5%以下
・純資産額50億円以上
・信託開始以降5年以上経過
・信託期間中の3分の2以上で資金流入超

2018年2月2日の時点で、つみたてNISAの対象となる投資信託は、144本。このうち、インデックスファンドが126本、アクティブファンドが15本、ETFが3本となっています。これらは金融庁のウェブサイトで確認できます。

もし「高いリターンが欲しいので、積極的にリスクをとった運用がしたい」という方針であれば、買い付けたい投資信託がつみたてNISAの対象ではないかもしれません。その場合は、通常の口座、もしくはNISAで運用することになります(NISAに関しては後述します)。

また、運用益が非課税になるのは、最初に売却するときだけ。何度も売買したい場合は、つみたてNISAで運用するメリットはほぼありません。売却した場合その枠分が消えてしまうからです。(投資信託を頻繁に売買することはおすすめできませんが……)

買いたい投資信託がなければNISAという手もあり

「NISA枠を使っていない」とのことですが、NISAとつみたてNISAの併用はできず、どちらかを選択することになります。

NISAは、投資額の上限が年間120万円で、非課税期間は5年間。非課税になるのは、最初の売却時のみです(つみたてNISAと同じ)。買い付けられる投資信託については、特に条件は定められていませんので、NISA口座を開設した金融機関で取り扱っている銘柄であれば投資可能です。

もし、つみたてNISAに希望する投資信託がなければ、NISAで運用するのも一つの手ですね。

「つみたてNISAを始める場合、特定口座を解約するかどうか」ですが、毎月3万円の投資をつみたてNISAに回して、特定口座の投資信託はそのまま運用を続けるので良いかと思います。

もしくは解約手数料がかからないのであれば、一定額を少しずつ解約して、つみたてNISAの積み立て金に回しても良いでしょう。

始める前に注意すべき、2つのポイント

最後に、つみたてNISAをはじめる際、気をつけていただきたいポイントを2つご紹介します。

1つ目は、金融機関によって、つみたてNISAの取り扱い商品が違うということ。100本以上取り扱っているネット証券会社などがある一方で、数本のみを取り扱っている金融機関もあります。

また、積み立て額の設定や、積み立てのタイミング(毎月、毎週など)の設定の自由度も、それぞれの会社によって違います。つみたてNISAの口座を開く際は、自分の買いたい商品があるかどうか、自分の希望通りに積み立てられるかどうか、要確認です。

2つ目は、投資信託を選ぶときは「信託報酬(運用管理費用)」をチェックしてください。信託報酬は、運用期間中ずっと資産から差し引かれます。運用期間が長くなるほど、運用成績に与える影響も大きくなります。

市場平均と同じような値動きをするように設計されたインデックスファンドでは、同じ指数に連動する商品なら、どの投資信託を選んでも運用成績はほぼ同じですので、できるだけ信託報酬が安い投資信託を選んだ方が良いでしょう。

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