はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

仕事と人間関係に悩みうつ病を発症、45歳の時に退職しました。病気が治ったら社会復帰したいと思いつつも、現状は症状が思わしくなく、このままリタイアする可能性もあります。その場合、現在の資産で今後の生活が成り立つのかが不安です。試算した限りでは、90歳まで資金が底をつくことはありませんでしたが、欠けている視点などもあるかと思い、先生のアドバイスをいただけますと幸いです。

【現在の収入と支出(基本的な生活費)】
収入:傷病手当金28万円、所得補償保険35万円(いずれも期間限定)。
支出:基本生活費(家賃、食費等)11.5万円、国民年金1.8万円、国民健康保険1万円、住民税5,000円/年。

【今後の収入変化と予測される特別な支出】
・保険金の受給終了後は収入の見込なし(保有金融資産の運用益を除く)
・結婚、教育費、家購入などの予定なし

【退職後の収入・支出見込み】
・支出は大きく変化する見込みなし。
・厚生年金を70歳繰り下げ受給。年金額年220万円(ねんきんネットで試算)

【保有する金融資産】
保有金融資産:計5,400万円(退職金込み)
金融資産を年1%で運用して生活費の足しにしたい

【現在の保有商品】
・投資信託800万円(NISA枠でアクティブファンド月10万円、非NISA枠でバランスファンド月20万円積立)
・個別株300万円(在職していた会社のストックオプションを行使)
・社債100万円
・確定拠出年金月6.7万円(付加年金にも加入)。国内外のインデックスファンドを半々づつ購入
残りは現金で保有。長期積立投資で徐々にファンドの割合を増やしていく方針。

【現在の負債(住宅ローン・借金など)】
特になし、家は借家。

【保険契約の有無】
・個人年金保険
・一時払い終身保険59歳で解約予定、保険金520万円、保険料払済
・年払い定期保険60歳から10年間月10万円支給、保険料月1.7万円(59歳まで)
・がん保険診断一時金100万円、入院日額5千円、保険料年2.8万円(終身)
(40代後半 独身 男性)


深野: 病気治癒をされている中、アーリーリタイアに関するご質問をありがとうございます。

このままアーリーリタイアできる?

私も簡単に試算を行いました。結果、記載の通り90歳で資金が底をつくことはないとの計算になりました。改めて、90歳までの収支を試算してみましょう。まず、ご質問者の年齢が40代後半と書かれているため、最も若い46歳とさせていただきます。

90歳までは44年間。支出は個人年金保険の保険料を含めると月16.5万円の支出ですので、がん保険と合わせ、年間で約200万円になります。

国民年金を60歳まで払った場合、200万円×14年=2,800万円。61歳からは国民年金、個人年金保険の支出がなくなるため、3.5万円が減額され、同年齢以降の毎月の支出は13万円、年間で約160万円、90歳までの30年間だと160万円×30年間=4,800万円となります。となると、合計の概算は7,600万円になります。

一方、収入は傷病手当金、所得補償保険で469万円、70歳以降の公的年金が220万円×20年=4,400万円、個人年金保険が月10万円の10年間で1,200万円となります。

収入合計は6,069万円ですが、金融資産を5,400万円保有していますので、合計では1億1,469万円になります。支出に対して約4,000万円余裕がありますので、生活費が1割程度アップしても、90歳までは余裕で賄うことができると考えられます。

病気が治癒したら社会復帰されたいと記載されていますが、資金に余裕があることから、まずは無理をしないで治癒に専念されてください。

社会復帰に関しても正社員ではなく、派遣やパートなどでも、十分だと思われます。体調と相談しながら、焦らず社会復帰を考えていただきたいと思います。

アーリーリタイアするなら堅実な運用を

家計や運用に関して述べると、がん保険に関しては、ご質問者は資金に余裕があることから、万一、がんに罹患した場合、保有金融資産から払っても構わないと割り切れるのであれば、解約されても問題はないでしょう。

高額療養費制度などを利用すれば、がんに罹患しても医療費負担がそこまでの額になることはないでしょう。もちろん、加入を継続したとしても年間2.8万円の負担ですから、生活を圧迫するまではありません。

また、今後の資金運用に関しては、投資への資産配分が多すぎる気がします。場合によってはアーリーリタイアもありえるのですから、資産の運用は堅実に行くべきでしょう。

記載のプランでは、NISAと確定拠出年金は継続しても良いですが、バランス型ファンドの積立は控えてもよい気がしてなりません。それは、金融資産を年1%で運用したいと記載がありますが、記載してある積立などをすべて行わなくても、1%の収益を確保することは可能だと思われるからです。

投資も大切ですが、ご質問者の状況を考えると、くれぐれもリスク過多にならないことが大切だとご理解ください。1日でも早く、ご健康になられることを願うばかりです。

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