はじめに

この夏、復活のマックを象徴する新商品

マクドナルドの客足が本格的に戻り始めたようです。2016年に入ってから安定的に前年同月比で5%前後の顧客増を示していた日本マクドナルドですが、7月はさらにクイっと9.8%も顧客数が増えました。

今年の夏、マクドナルドの店頭ではリオ五輪の応援メニュー「必勝バーガー」が登場したのですが、実はこの期間限定メニューがある種のお客たちの間で大評判になりました。

先にメニューを紹介しておくと、ひとつはビーフ&パインバーガー。金メダルのイメージをパイナップルで実現したのですが、消費者の目がいったのはそこではありません。ジューシーに積みあがった2枚のビーフパティとその上にのる分厚いベーコン。同じくチキン&トマトは分厚いチキンのから揚げの衣が目につきます。

それ以上に注目を集めたのは朝の必勝メニュー。メガマフィンとメガマックグリドル、そしてダブルフィレオフィッシュ。これは通常の朝のメニューに一枚ずつ多くミートや白身魚のフライを増量したもの。メガマフィンとメガマックグリドルにはさらに分厚いベーコンをプラスしています。


ジャンクメニューがマック復活の原動力に

これらの必勝メニューは「アスリートを応援する」イメージで作られたようですが、ある種のマックファンが喜んだのはそこではありません。
「久しぶりにジャンクなメニューが登場した!」
https://twitter.com/Karuma25252/status/763950861613531136

それに昔からマクドナルドが大好きだったファンが欣喜雀躍したのです。

必勝メニューのサイドメニューとして提供されるポテトはオニオンとガーリック味を使ったアミアミポテト。オイリーというかファッティというか、とにかく健康には悪そうですが、おいしそう。必勝メニューはそこが受けた。そしてそれはマクドナルドの原点でもありました。

「マクドナルドはおいしくって大好きで。だけどあまり食べると体に悪いような気がする」
それが魅力なのに、折からの健康ブームでマクドナルドを始め世の中のファーストフードは健康志向に舵取りを向けていました。でもコアとなる顧客が本当に求めていたのは、ジャンクフードだったわけです。

マクドナルドのもうひとつの原点は低価格

さらにオリンピック期間中、私もこんなシーンに出会いました。メガマフィンを試してみようと朝、マクドナルドのレジに並んでいると、私の前のお客さんが、

「ソーセージマフィンを3つ!」と注文しています。

私が買ったメガマフィンは330円でミートは2枚入っています。ところがソーセージマフィンは100円メニュー。3つ買っても300円と実はメガマフィンよりも安い。それでいて分解して積み直せば(?)メガマフィンよりも一枚多い、テラマフィン(!!)を楽しむことができます。

そう、マクドナルドと言えばもうひとつ思い出すのがデフレです。昭和の最後の時代に登場したのがマクドナルドのサンキューセット。今でいうバリューセットが390円と、外食産業の中で他業態が追随できないほどの低価格メニューを打ち出したのです。

ところがその後、状況が変わります。

値上げから値下げへと路線変更。マクドナルドの将来は?

かつてデフレの象徴だったマクドナルド。しかしその後、世の中全体がデフレになるとマクドナルドの迷走が始まります。

牛丼メニューが軒並み290円になり、世の中には100円スーパーが登場し、サイゼリアや丸亀製麺など低価格メニューの外食が増え、マクドナルドが必ずしも低価格ではないという時代。マクドナルドは世の中に逆行して値上げを始めます。

消費者に人気だった100円メニューを減らしたり、高価格メニューを投入したり。最後には店頭のカウンターからメニュー表を撤去したり。そのことで「マクドナルドは高い」というイメージが広がってしまいました。

その日本マクドナルドは9月中旬からランチメニューに400円の「バリューランチ」を投入するそうです。コンビといってバーガー類とドリンクだけの組み合わせが400円。これまでの最低価格商品が3種類の「お手頃マック」の500円でしたから、ランチタイムの価格がさらに下がるわけです。

ジャンクフードに低価格。競争力の原点に回帰した日本マクドナルド。本格的に復活するかどうかが楽しみになってきましたね。

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