はじめに
グローバルに見れば成長産業
2つ目に、タバコはグローバルで見れば成長産業だということです。新興国を中心に喫煙人口は世界的に増えているのです。ゆえにタバコメーカーにとってもグローバル市場での販売権さえ確保できれば、事業は衰退するどころか成長させることができるのです。
そして3つ目の成長要素が、加熱式タバコの今後の発展です。タバコが問題とされる最大の理由は、受動喫煙によって周囲が健康被害をこうむることです。この影響を最小限に抑える目的で開発された加熱式タバコが今、人気になっています。
世界最大手の米フィリップモリスが販売するIQOS(アイコス)は、商品がなかなか手に入らないほどです。愛煙家に話を聞くと、意外なことにアイコスを使うようになってから健康になった気がするといいます。
紙巻きタバコの場合、タバコを燃やすことにより、ニコチンだけではなくタールが一緒に身体の中に入ってきます。愛煙家によれば、このタールこそがこれまでタバコを吸った後に起きる身体の不調の原因だったといいます。
ところが、愛煙家は身体に悪いと思っていても、なかなかタバコを手放すことができません。また、受動喫煙でもタール被害は同様に起きます。
加熱式タバコの持つ可能性
加熱式タバコは基本的にニコチンを蒸気として吸うことができる一方で、タールなどの身体に悪い成分は大幅にカットされる、という触れ込みです。
ただ現在は、厚生労働省の規制を見ても、まだ加熱式タバコは紙巻きタバコと同様の規制を受けるべき対象だ、というスタンスです。欧米でも、加熱式タバコの安全性については研究が始まったばかりで早急に結論を出すことはできない、といいます。
それでも、この加熱式タバコは商品としてみれば、巨大な可能性があるのかもしれません。
愛煙家にとっては、タバコに求める要素を残したまま、悪い部分をカットできるとされています。そして、さらに技術革新が進み、今以上に臭いなどを抑制できるようになれば、喫煙者と嫌煙家が同じスペースで共存できる可能性が出てくるかもしれません。
もしそのように世界の流れが変われば、タバコ衰退論は机上の空論だったと言われるようになる日が来るかもしれません。