はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

夫婦ともに、夫の実家(個人商店)に勤めており、いずれ後を継ぐ予定です。夫は月収25万円、私は月収17万円(いずれも総支給額)です。2人とも国民年金のみです。子供が3人おり、小2、小1、年中です。子供は3人とも、小中高は公立の予定。大学は国公立を希望していて、自宅外通学の予定です。子供の教育費、夫婦の老後資金をどのくらい用意しておけばよいかわからず不安です。また、保険、学資などで家計は毎月苦しく、やりくりが難しい状態です。

現在は、夫婦の老後資金として、国民年金、確定拠出年金(各月1万円)、商工会議所の退職共済(各月1万円)に加入しています。子供の学資保険を、長男300万円、長女200万円、次男200万円かけており、うち約400万円は払い込み済みです。世帯全体の普通預金、積み立て預金としては、約100万円あります。今後、どのように備えていけばよいのでしょうか。

〈相談者プロフィール〉
・女性、34歳、既婚、子供3人
・職業:個人商店勤め
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:38万円
・毎月の支出目安:35万円


花輪: 大学費用はいくらかかり、どのようにして貯めればよいのでしょうか。

子供3人の在学時期が重なると学費はいくら?

全国大学生活共同組合連合会の学生生活実態調査の概要報告(2017年10〜11月調査)によると、下宿生の支出の合計が12万750円なのに対して、収入の合計は12万3,890円です。収入の内訳は「仕送り」が7万2,980円、「アルバイト」が2万8,770円、「奨学金」が2万190円です。

大学が自宅外の場合は、年間100万円程度の仕送り額に加えて、学費もかかります。国公立大学の場合も年間授業料は54万円程度、入学金は40万円程度かかります。子供3人の大学時期が重なるので、最大で年間450万円程度の支出になることが予測されます。

子供の学資保険を、長男300万円、長女200万円、次男200万円かけており、うち約400万円払い込み済みということですが、国公立大学の場合、学費だけで約260万円程度かかります。足りない部分の生活費をアルバイトで賄うのか、奨学金を使うのかを、子供が高校生くらいになったら話し合いながら進路を決めるのも大切です。

自営業の場合、老後資金はいくら必要?

自営業夫婦の場合、老後の年金はいくらもらえるのでしょう。

国民年金の年金額は満額でも77万9,300円です(平成30年4月分からの年金額)。夫婦で年156万円(月13万円)程度ですね。

これに対して平均的な夫婦の老後の生活費はいくらでしょうか。

家計調査(2017)によると、高齢夫婦無職世帯の1ヶ月の平均的な支出額は約26万円(うち消費支出は約23.5万円)です。消費支出で考えても、月10万円程度の赤字になります。65歳から90歳までの25年間で3,000万円程度の生活費が不足することが分かります。

老後対策としては、自営業ということを武器にして、老後もできるだけ長く働き続けることが一番の安心につながります。不足する生活費だけでも稼げるような仕組み作りを今から考えておいた方がよいでしょう。

確定拠出年金(各月1万円)、商工会議所の退職共済(各月1万円)に関しても、年間24万円を26年間積み立てれば、利回りゼロと仮定した場合も624万円以上になります。これらの制度は節税をしながら老後の備えを作ることができるので、余裕資金があれば金額を増やしてもいいかもしれません。

また、小規模企業共済も掛け金が全額所得控除になる上に、いざという時に納付期間に応じて事業資金の借り入れもできます。

教育費がかかる前に生活費の見直しを行う

子供が3人いて月々の生活費がかさむのは分かりますが、これからますます教育費が大変になります。今のうちに家計改善を行うことも大切です。

保険料、通信費、自動車維持費などの固定費の見直しや、食費や水道光熱費など細かい節約も含めて、家計管理をしっかりと行いましょう。生活コストを下げることができれば、老後に蓄えなければならないお金も変わってくるからです。

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