はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
共働きのため、今までなんとかなるだろうと貯金をしてきませんでした。息子が中学になり成績が振るわないため塾に通うことになりましたが、今までの浪費癖に加えて、子供の教育費がかさみ、毎月赤字。息子は今後、私立の高校か通信制の高校に通う予定なので、さらなる教育費の圧迫にやっと危機感を覚えました。
現在、住宅ローンがあと8年、車のローンがあと2年残っています。主人は高齢のため、働けるのもあと10年ほど。浪費癖があり、毎月15万円ほどのカード支払いがあり、他にもカードのリボ払いが25万円ほど残っている状態です(私が転職したばかりで収入が減ったため、リボ払いを利用してしまいました)。今後の家計のやりくりについてアドバイスください。
〈相談者プロフィール〉
・女性、42歳、既婚(夫:55歳・年収280万円)、子供2人(中2・小5)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯年収:550~600万円
・毎月の支出目安:40~43万円
花輪: 「今月も足りないかも。でも、カードがあるから……」こんな甘い誘惑からついうっかりクレジットカードのリボ払いに手を出してしまう人はとても多いのです。
リボ払いは厳禁、収入に見合った生活を
今はファイナンシャル・プランナーの私も、学生時代や20代前半の時に欲しい洋服や靴をどんどんリボ払いにしてしまったことがありました。
支払いを後払いにして、先にサービスや物を手に入れられるクレジットカードは“魔法の杖”だと勘違いしやすいものです。しかし、その魔法がとけた瞬間に“借金”だけが残り、とても虚しい思いをすることになるのです。
資産価値の残るダイヤモンドや金ならまだしも、食事やエステなどはサービスを受けた瞬間に消えてしまいます。毎月の生活費までもクレジットカードのリボ払いや銀行ローンにしてしまうということは、自身の収入に見合っていない生活を送っているという証拠です。
リボ払いをしてはいけない「3つの理由」
こうしたリボ払いなどの借金が怖い理由は3つあります。
1.「家計の流れがおかしくなる」
ついついローンを組んでしまう人は、「お給料→ローンの支払い→その月の支払い→足りないとローン」と自転車操業に陥りがちです。
お給料が振り込まれると、真っ先に過去の支払いであるローン返済にお金が消えるのです。その月に使えるお金は借金返済の分だけ少なくなり、日々の食費を節約してもなかなか貯金はできません。
そして、冠婚葬祭や入学金や受験費用などの臨時的な支出があると、また借金に頼ってしまうことになります。
2.場合によっては「高額の利息がかかる」
奨学金など、一部のローンは無利息ですが、ほとんどのローンには利息がかかります。
しかも、クレジットカードのリボ払いの場合、時間の経過とともに借金が雪だるま式に増える「複利計算」になっています。借り入れた元金にだけ利息がかかる「単利」と違い、「複利」の場合は元本とその利息に対して利息がかかるのです。
3.「リボが積み上がりがちになる」
最低返済額だけを毎月返済していると、なかなか元金は減りません。その間に新しく2万円分を生活費の不足に補填してしまったら、また逆戻り。
一向に返済が進まなくて、リボの総額は一体いくらになっているのか分からないという人もたくさんいるのです。
リボから真っ先に返済を
借金返済の優先順位を立てて、原則として金利の高いリボなどから返済をしていきましょう。借金を返済するまでは、新しい借り入れをしないように収入の範囲で生活をしましょう。
「クレジットカードを使うと消費が2割程度増える」という海外の研究調査もたくさんあるため、現金での生活を心がけましょう。月15万円のカードの支払いがなくなれば家計はまわしやすくなります。
また、あと8年で完済予定の住宅ローン、2年で完済予定の車のローンがなくなったら、老後資金をラストスパートで貯めましょう。
借金がなくなればその分はまるまる貯金にできます。借金が浮いた分はないものだと思って、自動天引きでつみたてられる「確定拠出年金」「つみたてNISA」「自動積立の定期預金」などにまわしましょう。