はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

現在、子供1人につき18歳満期の400万円の学資保険に入っています。上の子は公立中学、公立高校、できれば国公立大学と思っていますが、下の子は中学から私学に行き、大学までエスカレーターでと考えています。現在の夫の年収は550万円、私の年収は560万円です。貯蓄は600万円。毎月10万円を給与天引き貯金をしています。しかしながら、毎月5万円ほどの赤字となってしまい、ボーナスで補填しています。今後、下の子の中学、高校の私学の学費を出せるか心配です。アドバイスよろしくお願いします。

〈相談者プロフィール〉
・女性、42歳、既婚(夫:49歳・会社員)、子供2人(小6・小5)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(マンション)
・手取りの世帯月収:45万円(天引き貯金を引いた額)
・毎月の支出目安:50万円

【支出の内訳】
・住居費11万円(うちローン7万円、管理費、修繕積立金、駐車場代)
・保険7万円 (学資保険、個人年金保険含む)
・食費8万円
・車費2万円(車2台、車通勤のため)
・光熱費2.5万円
・通信費0.5万円
・携帯代1.5万円
・日用品代1.5万円
・子供習い事 7万円 (給食費含む)
・交際費、レジャーその他3万円(冠婚葬祭、親戚との付き合い等含む)
・夫婦のこづかい6万円(3万円×2人)


花輪: ご相談ありがとうございます。

毎月赤字なるのは金額に無理がある証拠

相談者のように、毎月多くの金額を貯金に回そうと、天引きの金額を高くし、その結果、赤字になってしまうという人は結構います。毎月の天引き額に無理があるので、たとえば毎月の天引きを5万円分減額し、その分ボーナスから60万円を貯金に回すのも手です。

家計簿を見たところ、保険料は高めですが、それ以外の項目は突出的に高いわけではありません。食費、光熱費、通信費、交際費・レジャー・小遣いなどはもう少し工夫ができそうなので、子供の教育費がかさむ時にはこれらから月2万円程度捻出できたら良いですね。

調査データから将来の学費の試算をすると……

下の子が中学から私立ということで、教育費が大きな変動要因となりそうです。

文部科学省の「子どもの学習費調査」(2016年度)によると、授業料、給食費、校外活動費などを含む1ヵ月の学習費総額は、中学生の場合、公立で約4万円、私立で11.1万円。高校生は公立で約3.8円、私立で約8.7万円となっています。

相談者の場合、年子なので、2年後の第一子が中学2年生、第二子が中学1年生の時には2人分の学費は月約15万円。5年後の第一子が高校2年生、第二子が高校1年生の時には2人分の学費は月約12.5万円になる可能性があります。現在の教育費が月7万円なので5.5万円から8万円アップということになります。

そうなると、毎月の天引きをやめたとしても赤字に転落する危険性があります。貯金をストップさせて臨時支出はボーナスからやりくりをするなどの工夫をしましょう。

大学になるとさらに重くなる教育費

大学の入学・在学費用に関しては、日本政策金融公庫が「教育費負担の実態調査結果」(2017年度)によると、国公立大学の場合は合計約503万円(月額約10万円)、私立大学文系の場合は同じく約738万円(月額約15万円)、私立大学理系の場合は約808万円(月額17万円)です。

学資保険の満期が1人400万円ということですが、国公立大学と私立大学の平均的にかかる金額を足し合わせた額から差し引くと450万円程度赤字になります。奨学金の活用や子供たちにアルバイトなどで自分の学費の一部を稼いでもらうことも必要かもしれません。

共働きで収入はしっかりあるので、貯金や保険などの天引きが無理のない額なのかを確認しましょう。個人年金保険や学資保険などの貯蓄性の高い保険の場合は、いざという時に解約をして解約返戻金を受ける、契約者貸付を利用するなどといったことも可能です。

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