はじめに

「ダメと思われている銘柄から宝物を探す」。けっこう楽しい投資手法です。私には過去25年間、日本株ファンドマネージャーをやってきた経験がありますが、一貫してとってきた運用手法が、それです。

株式投資の代表的スタイルは、2つあります。1つはグロース(成長株)投資、もう1つはバリュー(割安株)投資です。私の運用手法は後者ということになります。読者の皆さんは、どちらのスタイルに近いですか。


割安株投資の魅力とは?

私は投資信託や年金などの運用会社で、20代は1,000億円、40代には2,000億円以上の日本株ファンドを動かしていました。私が運用していた時代は割安株優位の相場が続いたこともあり、割安株への投資で、ベンチマーク(競争相手)である東証株価指数(TOPIX)を大きく上回るパフォーマンスを上げることができました。

嫌われて大きく下がっている株。人気がなくてPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの株価指標で割安になっている株。配当利回りが高いのにダメ企業と思われて見向きもされない株……。

そんな中から、キラリと光るものを持った企業を探すのです。決算説明会などに年間200社近く行き、その中から「こんないい企業なのに、なんで株価は冴えないんだろう」と思うものを見つけて、コツコツ投資していきました。

投資してから、鳴かず飛ばずのまま、何年も株価が低迷することもあります。しかし、何年か経ったある日、突然、人気が出て、株価が急騰した時は、喜びもひとしおです。

「テーマ株投資」の逆を行け

「テーマ株」という言葉があります。人気テーマに乗る株、という意味です。

たとえば、「ネット関連株(インターネット上で新サービスを創造し成長する株)」は今、投資家が熱くなっている成長テーマです。今までなかった便利なサービスが次々と創造され、どんどん成長し、リアル・ビジネス(有店舗で提供されるサービス)を侵食する時代となったからです。

ひとたび人気のネット関連株になると、PERなどのバリュエーションを無視して、株価がどんどん上がっていくことがあります。それでも、利益がついてこないと、いつか投資家の失望を買い、株価は急落します。

私が注目するのは、その逆の銘柄です。

たとえば、「ネットに侵食されて衰退していく」と思われて、株価が割安になっている企業に注目します。財務諸表を読み込み、決算説明会に行って話を聞き、さらに実際の店舗を見て、本当にダメになっていくか考えます。そうした調査をする中で、これは「ひょっとして宝物?」と思われる企業に出合うこともあります。

ハードオフは衰退する企業か

今でも、不人気で株価が低迷している企業の決算説明会にはよく行きます。そんな中で気になっているのが、ハードオフコーポレーション(証券コード 2674)です。

同社は中古品流通業の最大手です。「ハードオフ」「オフハウス」などの有店舗販売が中心で、ネット販売は出遅れています。メルカリなどネット中古品流通業が急成長する中、負け組のイメージから株価は低迷しています。5月31日時点で予想配当利回りは3.7%と高水準ですが、投資家には人気がありません。

実際に業績を見ると、2016年3月期に最高益をあげて以降、振るいません(下表)。

ハードオフはネット販売もやっています。ところが、ネット対応が遅れたため、メルカリなどネットの中古品流通に押され、2017年3月期以降、減益となりました。ネット対応を強化するためのコストも、収益を圧迫してきました。

2018年3月期は、既存店販売が低迷(前期比▲1.2%)したことを受けて、固定資産(不振店舗など)の減損損失など約4億円の特別損失が発生しています。業績だけ見ていると、先行きに不安が生じます。