汚れているから、かたいから、無駄な部分だと思い、野菜の皮を捨てる。あく抜きになる、苦味が取れると思い、野菜を水にさらす。よかれと思ってやっているこれらは、野菜の栄養を取り逃がす行為だったのです。

なぜ野菜の栄養は皮に多く集まるのか。野菜の栄養を取り逃さずに食べる方法について、「その調理、9割の栄養を捨ててます」(世界文化社)を監修した東京慈恵医科大学付属病院の栄養部・管理栄養士の濱裕宣先生にお話を聞きました。


皮のまま食べた方が栄養価の高い野菜

いくら皮に栄養があると聞いても、泥や汚れ、傷などがついていると、そのまま食べるのは躊躇してしまいます。ところが、「野菜は皮にこそ栄養が豊富に含まれているのです」と濱先生は言います。

濱先生によると、にんじんの皮には中心部の2.5倍のβカロテンが、ごぼうの皮には2倍のポリフェノールが含まれているといいます。じゃがいもは皮の方が鉄分、カルシウムが豊富だそう。ほかにも、なす、だいこん、しょうが、かぼちゃ……皮のまま食べた方が栄養価の高くなる野菜は普段から料理に広く使われるものばかりです。

それに対し、皮をむいた方がいい野菜は、たまねぎ(新玉は除く)、キャベツ、レタス。一番外側の皮は食べるのには少しかたく、虫がついていることもあるからです。ただ、先の野菜と同様、外側のかたい葉にも栄養はたっぷり含まれているため、「よく洗い煮込めば食べられないことはありません。気になるようなら1枚むけば充分」だといいます。

皮に栄養が集まるのはなぜ?

なぜ、野菜は皮に栄養が多く集まるのでしょうか。

「外側にある皮ほど、日光を浴び光合成をして栄養分を多く作り出します。また逆に、紫外線から身を守るためにも外側に栄養が集まるのです」と濱先生。

にんじんやだいこんなど土に埋まっている根菜は、直接日光に当たることはありませんが、外側にある皮を通じて葉に養分を届けようとするため、皮側に栄養が集まるといいます。

また、いも類の皮には加熱時に流出しやすい栄養素を食い止める役割もあります。どうしても皮をむきたいなら、皮付きで蒸したり、茹でたりした後に、極力うすくむくのがおすすめとのこと。

野菜を水にさらすのは間違い?

皮についた農薬が気になるという場合でも、「基本的に水道水でよく洗えば問題ありません」。ピーマンやトマトなど、皮をむかずに口にする野菜も多くあります。

汚れや農薬が気になるからと野菜を長時間水にさらすことは、逆に栄養を取り逃すことになると指摘します。

「水溶性のビタミンが流出してしまいます。あく抜きや、苦みを取り除くために水にさらすのも避けましょう」。

白菜の芯が膨らむ理由

ほかにも野菜の栄養を取り逃さずに食べるには、生長を止めることも有効だといいます。濱先生によると、野菜には細胞分裂を繰り返す生長点があり、白菜、キャベツ、レタスは真ん中の芯の部分がそれにあたるそう。

スーパーでよく見かける4分の1にカットされた白菜。中心部分が膨らんでいるのを見かけたことはありませんか?

野菜は収穫後でも生長点が残っていると、なお生き続けようとするそうです。白菜の芯の部分が膨らむのは、生長点が生きようとして、まわりの栄養を吸い取ってしまうから。

そうなると、栄養やうま味が逃げ、傷みやすくなります。新鮮さを保つには、芯から食べる、つまようじを芯に刺して生長点を壊すことが効果的だといいます。

同じ野菜を食べていても、知っているか知らないかだけで、栄養価に差がつく野菜の食べ方。せっかくなら、正しい方法を知ってたっぷり栄養を取るように心がけましょう。

『その調理、9割の栄養捨ててます!』東京慈恵医科大学付属病院 栄養部監修


体に届ける栄養素を増やすことができるコツがあるとしたら? 病院食レシピの先駆け・慈恵医大の監修のもと、最新のエビデンスに基づく、目からウロコの「食べ方の新常識」。ほうれん草の赤い部分は捨てちゃダメ! 骨付き鶏肉+お酢でカルシウムが2倍。納豆はあつあつご飯で食べると栄養価ほぼゼロ! しょうがは一度加熱すると効果は30倍。茹で方、焼き方、切り方。ちょっとしたコツで摂れる栄養が大幅UP。体が変わる食べ方のコツを伝授。


取材協力 濱 裕宣
東京慈恵会医科大学付属病院栄養部。管理栄養士。『栄養まるごと10割レシピ!』(世界文化社)『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)『糖尿病ならすぐに「これ」を食べなさい!レシピ』(主婦の友社)など、数々の書籍を監修。「世界一受けたい授業」「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」など、多数のテレビ番組にも出演。