はじめに
一組の男女が結婚して新しい暮らしが始まると、毎日のように発見があることでしょう。そんな日々の積み重ねで、お互いのことを理解しあいながら、夫婦としての絆を深めていくのかもしれません。
二人で話しておくべきことはいろいろありますが、特に話すべきはお金のこと。なかでも将来のリスクに対して安易な保険選びをしていないでしょうか。
今回は、生命保険の仕組みや選び方を解説します。ぜひ夫婦で、保険のことを話し合い考えてみてください。
結婚後のお金の管理・保険の管理に注意
新婚夫婦にとって、なかなか本音で話しづらいのがお金のこと。ただでさえ、日本はお金のことを話さない文化なのでなおさらでしょう。でも、はじめが肝心です。給与などの収入金額や、貯金残高と同様に、すでに入っている保険があれば契約内容などもオープンにしておく必要があります。
片方に何かあれば、配偶者が代理で様々な手続きをするのが一般的。ですから、きちんと把握しておくことが大切なのです。保険証券は、二人で管理できるキャビネットなどに保管しておくとよいでしょう。
お金の管理のなかでは、保険はかなり重要です。期間も長く、積み重なれば金額も大きくなってきます。将来が不安だからと安易に保険選びをすることは禁物です。保険は中身が重要だからです。
これからの生活に合った保険でなくては意味がありません。自分たちにピッタリの保険を選ぶためには、まずは、二人の将来のライフプランをはっきりさせることが必要です。
仕事はどうするか、子どもはいつごろ欲しいか、マイホームの購入はするのか、などの希望で、将来のマネープランは変わってきます。保険もそれに合わせて設計するべきなのです。
そのため、結婚後も、独身のときから見直していない保険に加入していては、保障が不十分なケースもあります。もしものときに困るのは、もう自分ひとりではありません。相手に辛い思いをさせてしまわないようにしておきたいですね。
あるいは、保険会社の営業員に言われるまま契約してしまい、不必要な保障のために毎月高い保険料を払わされているかもしれません。無駄な出費は、二人の将来に百害あって一利なしです。
よくある生命保険選びのミス
マネー相談でも非常に多いのが「結婚したので保険入りたいと思うのですが、何に入った方が良いですか」というご相談です。
そもそも「結婚したから保険に入るもの」くらいの気持ちで保険を選ぶのは危険ですし、本当に必要なのか一考する必要があります。
保険とは「多額の費用が必要になる不測の事態」に備えるものです。自動車保険で考えるとわかりやすいですが、相手を死に至らしめてしまったときにその賠償金は払えるのかどうかという視点です。
生命保険に加入する際も同じ視点で選ぶべきなのです。目安としては、貯金でまかなえない金額だと考えるとよいでしょう。または、貯金はあっても家計にとってのダメージが大きい金額です。そこを考えなくては、自分たちにマッチする保険は選べません。
保険選びによくある間違いとしては、「保障が大きすぎる保険」があります。
自分の家庭に必要な保障額を計算しておかないと、営業マンに大きすぎる保険を勧められても気付かず契約してしまうことがあります。
万一の死亡時の保険金が5000万円や1億円の保険が必要な家庭は、そう多くありません。確かに、専業主婦の奥様と赤ちゃんを遺して万一のことがあれば、その後の生活費や教育費に困らないように保険に入っておかなくてはならないでしょう。
子ども一人の教育費は、すべて公立でも1000万円程度かかります。生活費が月15万円だったとしても、子供が大学卒業までの22年間で、15万円×12ヶ月×22年=3960万円ですから、教育費とあわせて約5000万円の計算になります。
でも、日本には社会保障が整備されています。遺族年金、児童扶養手当が国や地方自治体から受取れるので、実際はもっと少額の保険でも十分なケースもあります。
それから、マイホームをローンで購入すると、ほとんどが団体信用生命保険にも加入します。これはローンの返済途中、契約者が亡くなった場合に、ローンの残債がゼロになる保険です。ですから、家を買ったらその分は保険金を減額してもよいのです。
必要な保障額を計算せずに漠然とした不安から選ぶと、大きすぎる保険に入って損をしてしまうので注意が必要です。
また、他の保険選びによくある間違いとしては「貯蓄性にこだわりすぎた保険」があります。掛け捨ての保険はもったいないからと言って、貯蓄性ばかりを求めるのも、保険の目的を見誤ってしまいます。
数年おきにお祝い金などの名目でお金を受取れるのは嬉しいですが、よく見れば払い込む保険料よりも少ない金額しか受取れないケースもあります。
特に医療保険に多いのですが、「健康お祝い金」という特約は、入院や手術の給付金を受取ると、お祝い金がありません。これでは何のために契約したのかわからないのではないでしょうか。シンプルな医療保険にだけ加入し、あとは貯金をしていたほうがよっぽど合理的です。