はじめに
消費「額」は減っても、消費「量」は増えている?
さて、経済指標を見ると、個人消費は力強さに欠ける状況が続いていますが、拡大するシェア経済の状況を見れば、消費者個人を流通する消費「量」は増えている可能性があります。例えば、1台のクルマを購入すると7~8年間乗り続けるかもしれませんが、カーシェアを利用すれば短期間に様々な種類のクルマを楽しむことができます。
フリマアプリでは、様々な商品領域で、個人が新品で購入したモノを中古で売買する連鎖の流れがあります。消費者が費やす消費「額」は減りながらも、消費者個人が利用する商品やサービスの消費「量」は増えているのではないでしょうか。
「売ることを考えて買う、使う」という価値観
シェア経済の登場で消費者の価値観も変化しています。モノを買う時に「売ることを考えて買う」「売ることを考えて使う」「使えるうちに売る」という消費行動が広がっているようです。例えば、フリマアプリで今後売る時のことも考えて、有名なメーカーのモノや少し良いモノを買う、そして、商品が入っていた箱やタグ、レシートなどを取っておく、旬のうちに売る、といった行動です。
このような行動は、不動産や自動車の購入では、これまでも見られていたものですが、洋服やバッグ、おもちゃなど日用品にまで広がり始めています。
また、成熟した消費社会では、若者をはじめとして所有から利用へという価値観のシフトもあるでしょう。エコ意識の高まりもあり、無駄なモノを買わずに合理的に消費をするというスマートな消費行動が支持される風潮があります。
シェア経済の登場によって安くて便利、質もまあまあのモノが、さらに多く流通するようになりました。消費者の意識がシェアへ向くのは当然です。企業はシェア経済と上手く共存するとともに、シェアでは得られない付加価値を生み出す必要があるでしょう。