読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。


なるべく早くリタイアをするためにお金を貯めていますが、どれくらい貯めればいいのかよくわかっていません。たとえば、仕事を辞めた後、運用資産が6,000万円あれば、5%で運用して、年間300万円の利益を出すことができ、結婚するつもりはないので十分生きていけると思います。このような試算で6,000万円近く貯めれば、仕事を辞めても暮らしていけるのでしょうか。現在は、毎月約25万円をインデックスファンド、ETFに回しています。


〈相談者プロフィール〉
・男性、32歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:親の家で同居(両親と弟)
・手取りの世帯月収:50万円
・毎月の支出目安:25万円
・総資産:800万円

花輪: いくらあればアーリーリタイアできるかは、年間支出額にもよります。

支出が年300万円ならいくら貯めればいい?

年間支出額の目安が300万円であれば、8,000万円を年利5%で運用をすることができれば、約20%税金を支払った後でも、300万円以上手元に残ることになります。

ただし、5%で運用をするのは市場環境によっては困難なので、3%で見積もるのならば1億3,000万円程度必要になりますね。それゆえ、多くの人が2億から3億円の資産を作ってから、アーリーリタイアを考えるようです。

あるいは、セミリタイアという考え方もあります。アルバイトなどで200万円程度の収入があれば、6,000万円を3%で回して税金などを払っても、年間300万円程度を支出することは可能です。

現在、実家暮らしということですが、両親に介護や医療が必要になった場合、両親の年金などから賄うことができるのかも確認をしておきましょう。

資産が増えたら運用戦略を変えて

また、1億円程度資産を作った後の運用に関しては、キャピタルゲインよりインカムゲインを中心に考えると良いでしょう。

お金ができるまではキャピタルゲインを中心に、お金持ちになったらインカムゲインを中心に運用をするなど、資産の大きさによって運用の戦略を変えていく必要があります。

キャピタルゲインとは、株式、債券、不動産、貴金属(金、プラチナなど)といった、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことです。

たとえば、株価10万円で購入した株式が、20万円になったときに売却した場合、差額10万円(手数料・税金を除く)がキャピタルゲインになります。売却することによって損失が出た場合は、キャピタルロスとなります。

一方、インカムゲインとは、株式、債券、不動産などの資産を保有中に得られる収益のことです。たとえば、株式では配当金、債券では利子、不動産では家賃収入がインカムゲインにあたり、それら資産を保有し続けることで、継続的な収入を期待することができます。

これから資産を築くならキャピタルゲイン

キャピタルゲインはインカムゲインに比べ、利益が大きくなる可能性が高いです。

株式を例にとってみると、配当金は株価の3%程度あれば多い方ですが、売却した場合の株価は、購入した金額を大きく上回る場合もあります(逆もあります)。

ただ、インカムゲインはマイナスになることがないのに対し、株式や債券など保有している資産を売却する場合は、価格が大きく下がる可能性があるため大きく損失が出る場合もあります。

そのため、もうすでに資産を築いている富裕層はリスクを取ってキャピタルゲインを狙う必要性が少なく、インカムゲインを中心に利益を上げようという手法が一般的なのです。

反対に、これから資産を作る必要がある人は、ある程度キャピタルゲインを狙っていかないと大きく資産を増やすことは難しいでしょう。