はじめに

日経平均株価は2万2,000円台で、膠着しつつあります。ここから先の展開について、専門家の意見は分かれています。

「年末高に向け、上昇のマグマがたまってきている」と超強気を語る人がいる一方、「バブル崩壊が近づいている」と超弱気の人もいます。こんな時、個人投資家はどうしたら良いのでしょうか。


専門家にはどんなタイプがある?

本題に入る前に、そもそも「専門家」とは誰のことを指すのでしょうか。証券会社のストラテジストや株式評論家などが、いわゆる専門家といわれる人々です。

かくいう私も、証券会社のストラテジストとして、株式市場の予想を出しています。ただし、他のストラテジストと少しだけ違うところは、過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやってきた経験があることです。

ファンドマネージャーをやっていた時、いちばん不信感を持って見ていたのが、ストラテジストや株式評論家でした。本当に彼らは“専門家”なのでしょうか。こういった専門家の予想を分析すると、極めて大雑把に言って、4つのパターンに分類されます。

(1)万年強気系 :いつでも強気を語っている。株が上がると予想は当たり、下がると外れる。
(2)トレンド後追い系 :株が上がると強気を語り、下がると弱気を語る。同じトレンドが続いているときは予想が当たるが、トレンドが転換すると外れる。
(3)信念を貫く系 :相場材料やファンダメンタルズをきちんと分析したうえで、自分の信念に基づいて、強気・弱気の判断を出す。よく当たる人と、しょっちゅう外れる人に分かれる。
(4)まじめ分析系 :相場材料やファンダメンタルズをきちんと分析し解説するが、過去の分析ばかりで、先行きの予想はほとんどしない。

私はファンドマネージャーだった時、話を聞く価値のあるストラテジストを限定していました。話を聞く価値があるのは「信念を貫く系」と「まじめ分析系」だけでした。

当然ですが、最後の投資判断はファンドマネージャーである私自身がしていたわけですから、ストラテジストには「考える材料」だけ求めていました。したがって、過去をまじめに分析するだけで予測を語らないストラテジストでも、私は重宝していました。

株式市場の見通しに迷っている理由

さて、私は今、どのタイプに分類されるのでしょうか。私はファンドマネージャーだった時も、ストラテジストになってからも、「信念を貫く系」です。自分の思う通りに、予想を語っています。当たり外れは、その時々でいろいろあります。

私は今、正直迷っています。世界が丸ごと好景気で、日本の景気も企業業績も良好です。米国株が強く、このまま日本株の上昇が続くシナリオも描けます。

ただし気になるのは「世界景気は循環する」ということです。2017年、18年は世界景気が好調で、株式投資に絶好の環境でした。ただし、2019年はわかりません。「上りつめた竜は下がる」しかないように、世界景気も減速する可能性があります。

2019年に世界景気が減速すると仮定すると、2018年末から2019年初のどこかで、株はいったんピークアウトするはずです。次の景気減速がいつか、それを織り込んで株がピークアウトするのはいつか、慎重に見極める必要があると思っています。

ただし、私は長期的に日本株に対して「超強気」です。次の景気減速を織り込んだところで積極投資すると、その後、大きなリターンが得られると思っています。

日本企業の財務内容・ビジネスモデル、日本株のバリュエーションとも、私がファンドマネージャーをやっていた時代と比べて、格段に魅力的になっているからです。私が若かったら、今から25年間、日本株のファンドマネージャーをやりたいと思うところです。

個人投資家へ、ホンネのアドバイス

相場の短期変動を予測するのは、とても困難です。腕の良いファンドマネージャーほど、安易に相場を語りません。短期変動を考える最後の拠りどころは、外国人の売買動向です。日本株は、情けないことに、日本人が動かしているわけではありません。外国人が買うと上がり、売ると下がる傾向が、30年近く続いています。

外国人が様子見している間は、じっと様子見し、外国人が売ってきたら売り、外国人が買ってきたら買う「コバンザメ戦略」が最後はいちばん有効でした。今のような不透明な環境が続いている間は様子見を続け、外国人の動きに合わせて、一気に勝負をかけるしかない、と今は思います。

ただ、それはあくまでも、相場と戦いたい方へのアドバイスです。必ずしも、相場と戦う必要はありません。

これから貯蓄を始める方でしたら、一定金額を積み立てで投資していく方法が賢明です。手数料の安いインデックスファンドを選んでください。特定のテーマに賭けるファンドや、手数料の高いファンドには投資すべきではありません。以上が、私のホンネのアドバイスです。

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