はじめに

「国民年金保険料を払ってないのですが…」自営業の方やシングルマザーさんより、よくご相談を受けます。国民年金保険料の納付期限は、2年以内であれば納付できますが、2年を過ぎると時効のため納付することができなくなってしまいます。

しかし、国民年金保険料の「後納制度」を利用すると、過去5年以内に未納だった国民年金保険料を納めることができます。ただし、この制度も2018年9月末で終わるので注意が必要です。

今回は、国民年金保険料の「後納制度」についてご紹介します。


年金の10年の壁

国民年金保険料の「後納制度」を考えるにあたって、まずは年金(老齢年金)の基本をおさえておきましょう。老齢年金は、原則として年金保険料を支払った期間(保険料納付済期間)が10年あることで、65歳からの受給資格が得られます。

逆にいうと、保険料納付済期間が10年に満たないと老齢年金は生涯受け取れないことになってしまいます。

国民年金保険料は後で支払うことができる?

国民年金保険料の納付期限は、「納付対象月の翌月末日」と決められていますが、何らかの事情で払えなかった方のために、2年以内であれば納付できます。しかし、2年を過ぎると時効のため納付することができなくなってしまいます。

国民年金保険料の「後納制度」は、2年を過ぎてしまい、結果的に将来の年金が少なくなる、年金そのものを受給することができなくなることを防止することを目的として、2年以上前の「未納」とされた年金保険料について、過去5年分まで納付することができる制度です。

「後納制度」を利用する3つのメリット

この「後納制度」は2018年9月末で終了される期間限定の制度ですが、利用するメリットはあるのでしょうか。

(1)老齢年金が受け取れるようになる可能性がある

例えば、保険料納付済期間が通算で9年11カ月、老齢年金の受給資格がない方で考えてみましょう。5年前の1カ月分の年金保険料を納付することで、老齢基礎年金を受け取れるようになります。9年11カ月のうちに厚生年金に加入した期間が含まれていれば、老齢厚生年金も上乗せで受け取れます。

受け取れる老齢基礎年金の額は、年額19万4,825円。これは、年金保険料を40年間納付した方が受け取れる平成30年度の老齢基礎年金の1年あたりの満額77万9,300円をもとに計算しています。年額19万4,825円とはいえ、亡くなるまで受け取れるのは心強いですね。

(2)将来受け取れる年金額がアップする

もともと受給資格がある方でも、5年以内の未納があれば後納すれば将来の年金額が増やせます。平成30年度の額をもとに計算すると、保険料納付済期間が1カ月増えれば、受け取れる年金額は1年あたり1,624円増えます。

平成25年度の未納期間分を後納すると、後納保険料は1カ月1万5,580円なので、老齢年金の受給10年で回収ができることになります。

(3)年金保険料の支払いは節税にも効果あり

後納制度は、税金の面でもメリットが生じることがあります。国民年金保険料は期限内に年金保険料を納付した場合だけでなく、後納する場合にも所得から控除され、所得税・住民税の節税効果が期待できます。老齢年金が受け取れるのはまだ先のことと思うと、過去の年金保険料の支払いにためらいを感じる方もいるでしょう。

しかし、子育て世代の場合は、節税により保育料が減る、高等学校等就学支援金の支援対象になるなど、うれしい効果を生むことがあります。

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