自分の会社や業界の数字は見なくていい

四季報の読みこなしというと、自分の会社や働いている業界の企業から読むと、とっつきやすいともよく言われます。しかし、これに対しても、森口さんいわく「そうとは限りません」。なぜなら、「自分の会社に対しては甘く見るか、嫌いになりすぎて厳しく見すぎるかで、どうしてもバイアスがかり、冷静な読み方ができないから」

それなら、いっそ、株を実際に始めた方が四季報の理解は早いと言います。「人は自分が経験していないことをくどくど説明されるととても辛い。経験せずに知識は入らないし、基本的に株式投資に関わる情報が四季報には書いてある。株を持っていないと、四季報を読むモチベーション・興味がわかないので、とにかく株を買ってみること」

「株式投資に興味を広げて、社会全体の様々な企業を見たほうが、最終的に自社の会社の数字も、もう少し冷静に違う角度から見られるようになります」

四季報には、株の最低購入額も書いてあるので、自分の買える金額のものを探すこともできます。「10%値下がりしたら、絶対に売る」などの自分なりのルールを決めて購入すれば、後悔しないと森口さんは言います。

「5万円以下で買える株もあります。5万円の株でも10%なら5000円下がるだけ。5000円が高いか安いかは人によって違いますが、買って持つだけでも、四季報に対する理解に大きな差が出る。2000番台などの銘柄は一般の人にもなじみの深い小売りの銘柄なので、四季報の中でこの番号台だけを読んで、どの株を買うか決めてもいいでしょう」

大義を求めず、数字を楽しむ

四季報を読むには、まずは数字を楽しむだけでいいとも森口さんはアドバイスします。

「全上場企業の中で年収が一番高い会社をひたすら探したり、名前も知らない会社で、ものすごく年収のいいところを発見したり、成長している会社ってこんな感じなんだという感覚を知るだけでも最初は十分です」

これが、マニアやベテランのレベルになると、年収の額だけでなく、その額の経年変化や、仕入先・販売先の変化、設備投資・研究開発費の変化などを記憶・記録することも多いそう。研究開発費などはアンケートによる任意の記入項目なので、記述のないところもあり、その企業の姿勢がこうしたことからも読み取れると言います。

「四季報を読むと、自分のいる業界の規模の小ささや他産業の凄さを知り、ビジネス全般に対する視野が広がります。結果、今の会社や業界にいても、仕事に対する態度や仕事内容が違ってきたり、経済ニュースの見方も変わってくる」。ビジネスパーソンなら、一度はコツを抑えて読破に挑戦するのもいいかもしれません。

四季報速読グッズは…

森口さんが四季報を読む時に用意するもの。四季報に貼る付箋は7.2ミリ幅の小さいもので、数字などが隠れてしまわないサイズのものを愛用。前号の四季報をチェックするために、楽天証券の株アプリ「iSPEED」を使うため、iPhoneも用意。なおかつ、証券コードを打つときに、連続して同じ番号を打つと数字が消えてしまうのを防ぐため、iPhoneの設定も変えておく。一晩で読むのに一番の敵は「眠気」だそうで、眠気防止に光度の高いIKEAのデスクライトも用意するという徹底ぶりだ。

森口 亮(もりぐち・まこと)
東京・大阪・ニューヨークを拠点にする株式投資の学校「ファイナンシャルアカデミー」(無料体験学習会を開催中 https://f-academy.jp/school/kabu.html)の認定講師。美容師として働いていた時に、株式投資に興味を持ち、ファイナンシャルアカデミーの講座を生徒として受講。その後、金融経済教育の必要性を感じ、ファイナンシャルアカデミーに転職。現在は、四季報を1銘柄5秒で判断・読みこなすための「銘柄発掘トレーニングゼミ」などの講師を担当する。個人投資家。