日経平均株価は、レンジ相場が続いています。2018年5月以降の値動きをみると、22,000円を割り込んだ水準では割安感から押し目買いが入る一方、23,000円に接近してくると利益確定売りがかさみ、なかなか方向感が出てきません。

一方で、米国市場に目を向けてみると、日本株とは異なり堅調な値動きが続いています。この違いはどこから来ているのでしょうか、要因を考察してみます。


停滞の日本株、右肩上がりの米国株

2018年9月13日の日経平均株価終値は22,823円です。この水準が割高かというと、むしろ割安と言っていい状態です。第一四半期の決算を通過して、足元の日経平均EPSは1,737円(9月10日現在)まで上昇していますが、日経平均PERは12.88倍まで低下しました。これは、アベノミクス以降では下限に近い水準です。

一方の米国市場はどうでしょうか。直近4ヶ月間の日経平均株価と代表的な株価指数であるS&P 500を比較してみると、S&P 500は8月末に史上最高値を更新するなど上昇基調を続けています(下図)。なぜ、このように日米の間で株価の動きに差が出てきたのでしょうか?

製造業景況感指数が示す“好調”具合

大きな要因としては、単純なようですがアメリカの景気が絶好調である、ということが挙げられます。下のグラフは、アメリカ、欧州(ユーロ圏)、中国、日本それぞれの製造業景況感指数を示したものです。

2017年を振り返ってみると、夏前にかけて一時的な伸び悩みはあるものの、年間を通してみると、日本、米国、欧州ともに製造業景況感指数の緩やかな改善が続いていました。昨年の日経平均株価の推移を振り返っても、年前半は20,000円前後でもみ合っていたものの、年後半にかけて上昇基調に転じたのは、このような日本の製造業景況感指数の改善も寄与していると言えます。

ところが、2018年以降はこの動きに変化が出ています。欧州や日本、中国の製造業景況感指数は低下基調となる一方で、米国の景況感は4月を底にして再び強い改善を示しています。8月の米ISM製造業景況指数は61.3と、2004年5月以来の高水準となっています。また、8月の雇用統計でも、平均時給が前年比で2.9%増とリーマンショック以降では最高水準に達しています。

世界的にみると、トランプ政権による一連の保護主義的な貿易政策により、景気減速懸念が高まっていますが、アメリカでは減税措置もあり一人勝ちの様相を呈しているのです。

この先の日経平均株価を考えてみると、堅調な米国経済と弱含む中国をはじめとした新興国経済の綱引きとなり、なかなか方向感が出づらい状況が続くと思われます。下振れのリスクとして、米国経済の成長鈍化や新興国経済の更なる減速等が考えられるため、10月初旬に発表される9月の製造業景況感指数に注目してみると良いでしょう。

(文:松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎)