はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
住宅ローンを完済し、その分を毎月貯金しています。教育費も学資保険で別途貯めているため、現在貯金している2,000万円は老後のための資金ですが、金利がほとんどつかないので投資をしたいです。ただ、以前、銀行のすすめで海外債券型ファンドを500万円ほど購入したのですが、現在350万円まで下がってしまったため、投資をためらってしまいます。利益はそんなに出なくてもいいので、安全性の高い投資方法を教えてください。
〈相談者プロフィール〉
・女性、45歳、既婚、子ども2人
・職業:公務員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:57~62万円
・毎月の支出目安:50万円
・総資産:2,000万円
花輪: リスクを抑えて運用をしたい場合、株と債券などに分散投資をすると良いでしょう。
投資する前に資産配分を考える
資産運用の9割が、アセットアロケーションで決まると言われています。そのため、個別の金融商品やタイミングを気にする前に、まずは資産配分を決めるようにしましょう。
アセットアロケーションとは、運用する資金を「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」に分け、どのような配分で投資するのかを決めることをいいます。その人の資産状況やリスク許容度、運用の目的などによって、人それぞれで適切な配分が異なります。こうして具体的に商品を組み合わせたものを「ポートフォリオ」といいます。
リスクを抑えたいときの配分は?
そのアセットアロケーションで、どれくらいの利回りが期待できて、どれくらいのリスクがあるのかをよく確認し、その上で具体的な商品を選ぶことをおすすめします。
たとえば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、基本ポートフォリオで定める資産構成割合を示しています。そのポートフォリオを参考にすると、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%です。また、保険会社のポートフォリオなども非常に参考になります。
リスクをあまり取りたくない人は、株式の割合を減らして債券を多めにするのも手でしょう。為替リスクを取りたくない場合は、国内債券中心に考えるのも手ですが、リターンもその分下がります。
ポートフォリオを組むのが難しいなら……
自分でポートフォリオを組んで商品を決めるのが難しいという人は、プロにお任せするのも手です。
IFAという独立系フィナンシャル・アドバイザーを活用することもできます。IFAの多くは金融機関で経験を積んでおり、専門的な知識と高度な提案力を兼ね備えています。特定の金融機関に縛られず、顧客のニーズを最優先した金融商品の提案やアドバイスをすることができます。各人で運用ができない場合は、プロに運用をお任せするという方法もあり、富裕層の多くはそうしているのです。
一部のオンライン証券では、通常のインターネットのみで取引をする以外に、店頭や電話で相談しながら投資できるプランを用意している場合もあります。プロに相談しながら投資をしたいという方には向いています。