はじめに

3回の短期連載で進めてきた「最強の英語学習法」も今回で最後となります。最終回は「具体的にどのように学習すればよいか」という具体的なノウハウをお伝えしたいと思います。

このやり方で学習すれば英語力ゼロの状態から、半年で英検2級合格、つまり高卒レベルの英語力を身につけることができます。高卒レベルの英語力があれば、後は多読を継続することでTOEIC900点を超える実力まで届きます。英語の多読を始めるスタートラインに立つための英語力を半年で取得するという、スピード学習法なのです。


英単語は脳内に記銘せよ

筆者は高卒までは文字通り英語力ゼロで、be動詞と一般動詞は何が違うのかも理解できませんでした。しかし、そんな状態からでも、英文読解の訓練を積み重ね、半年後に英検2級に一発合格、そして最終的には外資系企業のグローバル経営企画の仕事をしていました。

フロアの半分以上が外国人で、1日の半分以上が英語漬けという環境です。ここにいくまでにやった英語学習の9割は英文読解。同じ学習法にコミットすることで、多くの人に再現性のある学習法だと考えています。

前回にお話しした通り、まずはとにかく頻出・必須英単語を頭に入れる必要があります。英単語の暗記、これこそがすべてのスタートラインになるわけです。

英単語の暗記というと、学生時代に一度は目にした「単語カードを使った無味乾燥な記憶」という嫌な思い出がよみがえる方もいるかもしれません。しかし、私が提唱するのは、知的好奇心がくすぐられるような、科学、哲学、異文化などの教養英文を読みながら、文章読解のプロセスの中で英単語を脳内記銘する方法です。

大学受験用テキスト2冊で十分

使用するテキストは大学受験用のものがオススメ。解説などが極めて丁寧だからです。最初の段階では英文法などの細かい理解はさておき、とにかく英文を何度も読んで脳内に文章を丸ごと記銘するような形で学習を進めていく事が重要。何度も何度も読み重ねていくことで、文章の内容や、使われている単語が脳の長期記憶に格納されていきます。

記憶とは、たとえばハケを使ってペンキを塗るようなものです。記憶力の良い人とは、一度さらっとペンキを塗るだけできれいに色が入る様を指します。記憶力に自信がなくてかすれて色が入る、という人でも何度も塗り続けていることで、やがてハケの上に膜ができてきれいに色が入ります。

このような感覚を持ちながら、とにかく何度も同じテキストの英文を読むことで、確実に英単語を記憶に定着させることができます。学習に使用するテキストは2冊程度で十分です。

大学受験用のテキストは長年、大学受験研究者が作り込んでいるだけあって、2冊使用するだけで必須・頻出単語を3ヵ月、長くても6ヵ月程度で、ほぼ完全に頭に入れることができます。

英文法も大学受験用のテキストを使う

最低限の英単語・英熟語が頭に入ったところで、次に英文法を学びます。こちらも大学受験用のテキストを使用していきます。まずは英文法の解説書を読むところからスタートし、一通り読んだら今度は問題集を解いていきます。

問題を解いてみると、最初はほとんど点数が取れないことがわかります。しかし、わからない箇所は丁寧に解説を読み、解説書を辞書代わりに読み解いていくことを継続するのです。理解が進んだ箇所は、次からは誤答することがありません。

この学習法は「わからないところを塗りつぶしていく」という作業です。どうしても理解できない箇所は念入りに参考書を読み、調べてつぶしていきます。この繰り返しで、メキメキと英文法力を身につけることができるのです。

何回か問題集を反復することで理解が進んでいき、9割以上正答できるようになったら、英文法の学習過程は卒業となります。大学受験用の英文法問題集を解くことができれば、一生モノの英文法力を身につけることができます。

後は、英文読解の訓練を続ける中で残りの英文法の学習を完成させることができれば、一生、英文法の学習からは開放されることになります。

英文読解はレベル分けテキストを使う

最後に英文読解です。ここまでの学習で、最低限読解に必要な英単語と英文法力の基礎力がしっかり身についているので、後はとにかくたくさん読み続けます。ただし、前回ご紹介した通り、素材選びは極めて重要です。

英字新聞をスラスラと読みこなす姿を夢見て、自分のレベルに合わない素材を選んでしまうと“あやふや読み”が身についてしまいます。最初は、レベル分けされた語彙制限本からスタートするのがベストです。

語彙制限本は使用されている英単語に難しすぎるものが使われておらず、文章の構成も極めて平素でわかりやすい仕上がりとなっています。自転車の補助輪をつけた状態で、とにかくたくさんの語彙制限本を読み、「英文を読む」ということへの抵抗感を減らしていきます。

語彙制限本が物足りなくなったら、その次は日本国内で発行されている英字新聞や、自分が興味を持っている分野の英語ニュースサイトなどを読むのがオススメです。筆者はこの順序で取り組んで学習を進めていき、学習を開始してその半年後に英検2級に合格。その後、国内の英字新聞をスラスラと読むことができるようになっていました。

英語マスターに訪れるビジネスチャンス

英字新聞を読むことが習慣化できれば、後はそれを止めないで自分の仕事の専門分野を英語で学ぶなど、実践ビジネスの英語を学んでいくと良いでしょう。私の場合は会計学のテキストを読んでいました。自分の今やっている仕事の情報やノウハウを英語で取り入れることを習慣化することで、転職チャンスにもつながります。

グローバル展開をしている日系企業や、外資系企業に転職をして、現場でビジネス英語の経験を積むことで英語は生活の一部となり、もう勉強をするという感覚はなくなっていくでしょう。その時、あなたは英語マスターになることができるわけです。

この段階に来るまでに必要なのは「英語は英文読解だけで身につけられる」ということと、「学習を継続する環境を作る」という点だけです。ぜひ、英文読解というお金も時間もかけずに最短最速で学べる英語学習法に取り組んでいただきたいと思います。

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