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株価が年初から4割下落、「鳥貴族」を覆う不安の正体

“外食の勝ち組”に何が?

焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」の株価が低迷しています。1月9日に高値3,910円をつけましたが、足元では9月21日終値ベースで2,250円と、4割強も下がっているのです。

鳥貴族といえば、外食業界の“勝ち組”といわれてきました。2014年7月期には売上高が146億円、本業の儲けを示す営業利益が6.9億円でしたが、直近の2018年7月期にはそれぞれ339億円、16.8億円と、5年間で2倍以上に拡大しています。

にもかかわらず、株価はこの9ヵ月間で4割強も下落。なぜ市場の評価はこんなに厳しいのでしょうか。その理由を分析してみたいと思います。


年初までの株価水準の背景

9月12日に公表された2018年7月期の着地は、売上高が前期比15.8増の339億円、営業利益は同15.4%増の16.8億円、当期純利益は同31.6%減の6.6億円。2ケタの営業増益にもかかわらず、翌日以降の各メディアの書きぶりも厳しいもので「32%減益」という活字が踊りました。その原因として、昨年10月に実施した値上げを挙げたものが大半でした。

期初時点での2018年7月期の会社側の予想業績は、売上高が前期比25.9%増の369億円、営業利益は同62.2%増の23.6億円、当期純利益が同38.4%増の13.3億円でした。これを7月6日に、売上高を同15.7%増の339億円、営業利益を同3.4%増の15億円、当期純利益を同39.1%減の5.8億円へと下方修正しました。

実は、この下方修正に伴う株価の反応はごく限定的でした。というのも、すでにこの時点までに株価に織り込まれていたからです。外食チェーンの収益に直結する既存店売上高は月によって前年同月を下回る月もありましたが、12月までの累計では何とか100%をキープしていました。

同時に出店攻勢もかけていますから、全店での売上高は昨年12月までの累計で前年同期の119.5%でした。これが年初時点での株価水準の理由です。

本業の儲けはむしろプラス

しかし、年明け以降は既存店売上高の前年同月割れが恒常化。月次が発表されるたびに、じりじり株価が下がっていきました。

冷静に前期実績を眺めてみると、期初予想を大幅に下回っての着地ですから、市場の期待を裏切ったことは確かです。しかし、売上高営業利益率は4.9%。2017年7月期の5.0%から、わずか0.1ポイントしか下落していません。

販管費が前期から19%も増えているのですが、その分、値上げの効果が出て、売上総利益率は前期の67.9%に対して69.7%と、2ポイント近くも改善しています。つまり、本業の儲けを示す営業利益は増益で、しかも営業利益率はほぼ前期並みを維持したのです。

当期純利益の大幅な減少は、店舗の減損を例年の10倍に相当する5億円も計上した結果。もちろん店舗の収益力が落ちているからこその減損なのですが、次の期には営業利益の底上げ要因として作用します。

先行きを懸念させる第4四半期の異変

当期純利益の減少幅を強調するメディアの書きぶりには若干の違和感は持つものの、それでも市場の評価はなかなかに本質をとらえているようにも思います。

というのも、年次ベースでこの会社の決算を見ると、ちゃんとおおむね右肩上がりなのですが、これを四半期に分解してみると状況は一変します。2018年7月期の第4四半期(5~7月期)で、大きく営業利益率が悪化しているのです。

営業利益率は2017年7月期の第2四半期(2016年11月~2017年1月期)にも大きく悪化しましたが、このときは原因がハッキリしています。30周年キャンペーンで無料チケットを配ったら想定以上の利用があり、客数がハネ上がって店舗のスタッフを増強せざるを得なくなったのに加え、国産野菜の高騰があったのです。

しかし今回は違います。値上げによって売上総利益率は改善できたものの、何しろその率が7割と高水準ですから、売上高が少し伸び悩んだだけでも利益への影響度が大きくなります。人件費が主因と考えられる販管費の伸びも、今後の懸念材料です。

2019年7月期は出店をとりやめ、既存店の立て直しに専念するそうです。会社側の売上高計画は前期比11.7%増の379億円であるのに対し、営業利益は同3.7%増の17.4億円と、かなり慎重です。

期初時点での既存店売上高の想定は前期の97%。8月の月次実績は前年同月の94.4%と、やや出遅れ気味。市場の評価を取り戻すには、店舗オペレーションの向上やメニュー開発の強化など、地道で抜本的な客数増への取り組みが不可欠となりそうです。

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