読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。


現在、貯金はほぼゼロです。ここ数年、奨学金と借金(完済済)返済のために毎月10万~15万円を支払っており、奨学金の残り約70万円の返済が終われば、貯蓄ができるようになります。今まで返済のことしか考えていなかったので、貯蓄のことがよくわかりません。


現在は、家賃8.4万円の都心の1Kに住んでいます。会社に徒歩圏内のため住宅手当1.5万円が支給されています。ただ、結婚の予定もないので、毎月家賃を払うくらいなら中古マンションを購入したほうが良いのか、賃貸のまま貯金をするほうが良いのか、考えては何がいいのかよくわからなくなります。アドバイスよろしくお願いします。


〈相談者プロフィール〉
・女性、30代前半、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:27万円(ボーナスなし)
・貯金:ほぼ0円

花輪: まず、賃貸と持ち家のそれぞれのメリット・デメリットを考えてみましょう。

賃貸ならライフプランを自由に描ける

賃貸の一番のメリットは、ライフプランに柔軟性が出るということです。

突然転勤が決まるなど、人生には想定外のことがよく起こるものです。引越しが容易な賃貸の場合、外部環境の変化に自分たちの住環境を柔軟に合わせることができるでしょう。

また、住宅を購入する場合は諸費用や頭金に多額のお金を用意する必要がありますが、賃貸の場合は家賃を低く抑えて、浮いたお金を貯めることで、まとまったお金を手元に残しやすくなります。2年分程度の生活費があれば、転職や独立・起業などといった挑戦もしやすいでしょう。

賃貸のデメリットは、家賃を支払い続けなければならないことです。そのために、収入を維持する努力が必要になります。

持ち家の場合、売却できずに損失を被る可能性も

一方、持ち家のメリットは、自分の家がある安心感や、不動産が資産になることが挙げられます。

デメリットは、不動産は上場株式や公募の投資信託などと比べて、資産としての流動性が低いことです。急な転勤で不動産を売りたくても、すぐに売却できないこともあります。また、不動産価格が下落した場合に損をしてしまうこともあります。将来的には、修繕など追加でお金がかかることもあるでしょう。

また、貯金ほぼゼロの現在の状態で、頭金なしで住宅ローンを組んでしまうと、多額のローンに縛られることになり、仕事を変えるなどの柔軟なライフプランを考えるのが難しくなるというリスクもあります。

ライフスタイルによって異なる選択肢

ライフスタイルによっても、賃貸が向くか、持ち家が向くかは異なるでしょう。

たとえば、都心で夜遅くまで忙しく働いている場合は、職場へのアクセスがよい賃貸に住むことも選択肢のひとつになります。

通勤に毎日往復2時間かけているとすると、1ヵ月で約40時間、1年間で約480時間(20日分に相当)かかっていることになります。貴重な時間が通勤に失われるのを防ぐために、職場と自宅はできるだけ近くになるよう工夫をするのも手です。

転勤がほとんどなく、勤務先が郊外という場合は、マイホームを取得するのもよいと思います。その場合は、購入前にしっかりと予算を立て、退職までに無理なく返済できるようにしましょう。

大切なのは年収に見合った物件であること

賃貸でも持ち家でも共通していえるのは、年収に見合った物件に住むということです。

賃貸の場合は、年収の上昇とともに、よりよい物件に住み替えていく戦略もとれます。それは、仕事を頑張る原動力にもなります。

また、「生涯賃貸」とこだわらずに、ライフスタイルが決まり、資産ができたら購入してもよいのです。お金があれば選択肢を増やすことができます。