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台風“当たり年”で加速?「無電柱化」関連の注目4銘柄

雨風吹いて政策は固まるか

日本列島を縦断する形で、相次いで上陸している大型台風。9月30日午後8時頃に和歌山県に上陸した台風24号は、列島各地に深い爪痕を残していきました。大阪北部に住んでいる私は昨晩、枕元にしっかりと懐中電灯を用意して眠りにつきました。幸い、わが家は停電にならなかったのですが、多くの地域で停電が発生したようです。

9月初旬に関西を襲った台風21号でも、広い範囲で電柱が倒壊して停電が発生。関西電力によると、今回の台風で停電したのは近畿など2府6県の延べ219万戸で、同電力管内では1995年の阪神・淡路大震災以来の規模だったそうです。

関電管内の電柱は約270万本で、主に風速20~40メートルに耐えられるように設計されているのですが、台風21号の最大風速は各地で40メートル以上を観測。想定を上回る強風と飛来物の影響などで約800本の電柱が倒れ、大規模な停電を招いたのです。

電気や通信というライフラインを担う重要な社会インフラでありながら、電柱は地震に対する脆弱性などがかねてから指摘されてきました。今回は“風の強い”台風対策という新たな課題が浮き彫りになりました。


日本は無電柱化で大きな遅れ

電柱の倒壊は、電気や通信といったライフラインを寸断するだけではなく、付近の人々や建造物を脅かし、さらに道路をふさぐことによって復旧を遅らせることにもなります。そして、電柱の存在そのものが景観の阻害要因ですし、道路の有効幅員を制限することにもなります。

国や地方自治体による無電柱化への取り組みは昭和60年代初頭から進められていますが、全国には依然として約3,600万本の電柱が建っており、さらに毎年約7万本ずつ増加しています。実は、欧米やアジアの主要都市と比べても、東京や大阪といった大都市圏ですら無電柱化では大きな遅れを取っているのです。

これらを踏まえて、国土交通省は今年4月に「無電柱化推進計画」を策定。2020年までの3年間で、(1)防災、(2)安全・円滑な交通確保、(3)景観形成・観光振興、(4)オリンピック・パラリンピック関連の4つの観点から見て、必要性の高い区間から重点的に進めて約1,400キロメートルの無電柱化を目指す、との方針を示しました。

無電柱化が進みそうなエリアは?

無電柱化の手法は「電線類地中化」と「電線類地中化以外の無電柱化」に大別されます。現在の主流は、道路の地下空間を活用して電力線や通信線などをまとめて収容する「電線共同溝方式」になっていますが、よりコンパクトでコストが抑えられる「直接埋設方式」や「小型ボックス方式」なども検討が進められています。

無電柱化の実現に向けては、多大なコストも課題になるのですが、電線共同溝の費用負担については、道路の掘削や管路の購入・設置、道路の埋め戻し・舗装は道路管理者が行い、ケーブルや地上機器の購入・設置および電柱・電線の撤去は電力・通信事業者が担うことになっています。

財政難に悩む地方自治体や原子力発電所の運転停止で収益基盤が弱くなった電力会社にとって、かなり厳しい費用負担がのしかかることになります。取り組みを推し進めていくためには、行政サイドの何らかの支援策も検討すべきでしょう。

今回の台風について、かねてから無電柱化の重要性を訴えていた東京都の小池百合子知事は「あらためて無電柱化の取り組みの重要性を教えてくれた」とコメントしています。小池都知事が無電柱化論者なのはよく知られていますが、実は大阪市も2025年の万博誘致をにらんで無電柱化に前向きに取り組みを進めています。

電線地中化の関連企業に注目

その大阪市は、今回の台風の被害も大きかっただけに、さらに施策の推進を加速させるのではないでしょうか。日本のインフラ面での大きな課題である無電柱化に関連する企業にとっては、一気にビジネスチャンスが拡大する可能性もありそうです。

無電柱化に関連する企業はたくさんあります。私が思い浮かぶ範囲で、いくつかご紹介してみましょう。

電力会社の配電設備の構築が主力としつつ地中引込線の工事も手掛けるきんでん(証券コード1944)、電気通信工事の大手で5G基地局関連としても注目される**協和エクシオ(1951)**は、都市部の無電柱化工事に実績があります。

下水道向けヒューム管のトップメーカーで、地下道用ボックスカルバートでも有力な**日本ヒューム(5262)などもビジネスチャンスがありそうです。小型変圧器のトップメーカーであるダイヘン(6622)**には、電柱上から地上への置き換え変圧器に新規需要が発生するでしょう。

(写真:ロイター/アフロ)

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