日経平均株価が大きく下落した10月11日、新興国株式市場も軒並み値を下げました。先進国の利上げが進み新興国市場には逆風と言われるなか、当面株価の反発は望み薄に思えます。

しかし、筆者は新興国市場のなかでもベトナム株式市場が年末から反発する可能性があると予想しています。それはなぜなのか、今回はその理由を説明したいと思います。


ドル高により新興国市場には逆風

まず、新興国市場の現状を確認してみましょう。先週の急落より前、2018年下半期に入ってから、新興国市場は残念ながら全体的に軟調となっています。その理由はアメリカの金利上昇です。

アメリカの金利が上昇すると、為替市場においてドル高(新興国通貨安)につながり、新興国の債券や株式などの資産が売られる傾向にあります。こうした現象をリパトリエーションと呼びます。

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は12月に再び金利を引き上げる見通しを示しており、年内は新興国市場は低迷が続くと予想されます。

反発の要因となる「新年度効果」とは?

しかし新興国市場では例年、第4四半期(10~12月)に底を打つ(下げ止まる)傾向があります。その要因の一つは機関投資家(ファンドマネージャー等)の動きです。

投資資金を運用するファンドマネージャーは、新年度に入ると新しい資金の流入により積極的に買う行動に出る傾向があり、反対に秋から年末にかけては利益の確定や損切りに保有している資産を売却する傾向があります。この動きは、先進国に比べて流動性が低い新興国市場ではより鮮明になるようです。

これまで述べた要因を総合すると、年内の新興国市場は軟調なものの、年明けからファンドマネージャーの動きからもたらされる新年度効果による反発が期待できると考えています。ではなぜ、新興国市場の中でもベトナム株式なのでしょうか?

ベトナムの通貨制度「クローリングペッグ制」

ベトナムは通貨制度がアメリカの通貨ドルとある程度連動させるクローリングペッグ制を採用しています。そのため、今年は他の新興国通貨が軟調な間も、相対的に小幅な下落に留まっています。

また、ベトナム政府は財政赤字縮小のために年末に政府保有株の売出しを行う例が多く、海外投資家に人気のベトナム優良企業はこのタイミングで機関投資家に買われる事が多いのです。

ベトナム株式市場の主要株価指数である「VN指数」の2013年以降の株価の推移を見ると、2017年を例外として、年末にやや押し目を作り、年初に上昇する傾向があるように見受けられます。(下図)

このようなベトナム特有の要因が加わることで、年末にかけて安く、さらに年初から上昇しやすい新興国市場の特性が、ベトナム株式市場ではより発揮されやすい環境となると予想します。

(文:アイザワ証券 市場情報部 国際公認投資アナリスト 今井正之)