第2の中国を目指すベトナム、半導体で台頭の台湾…2022年の日本とアジア諸国の情勢を考える
2022年1月RCEP(地域別の経済的包括連携)が発効
2021年11月22~25日、ベトナムのファン・ミン・チン首相が訪日し、24日には日本の岸田首相との首脳会談を行いました。今回の訪日をきっかけに、今後は様々な分野で協力関係が強化されることとなりそうです。また、2022年1月からは、15カ国によるRCEP(地域別の経済的包括連携)の発効が予定されています。今後の世界経済や交易関係などに影響が出てくる可能性があります。このたびのベトナム首相の訪日を受けた今後の日越関係、RCEPの意義とアジア新興国への影響などについて、考えてみます。<写真:AFP/アフロ>
新型コロナの沈静化で注目される東南アジア、今後景気の行方は?各国の状況を確認
ASEAN主要国のGDPは年末に向けて改善する見通し
今年10月以降、日本で新型コロナの新規感染者数が減少し続け、経済の回復期待が高まる中、東南アジアでも同様な展開が見られています。今回は新型コロナ禍が沈静化しつつある東南アジアの景気見通しについて見ていきたいと思います。
デルタ株が深刻なインドネシアで感染者減少の兆し、今後の経済活動に課題は?見通しを解説
カギは感染再拡大のリスクと米テーパリング
感染力の強いデルタ株が猛威を振るい、アジアにおけるコロナ禍の中心地となっていたインドネシアで、ようやく沈静化の兆しが見えてきました。10月に入り、新規感染者数は1,000人を下回る日もあるなど、7月のピーク時の5万4,000人超から大幅に減少しています。ポストコロナを見据える上で、インドネシアの足元の状況と今後の課題について整理したいと思います。
コロナ禍の東南アジアに転換期迫る?フィリピン、インドネシア、ベトナムの現状を確認
米中両大国の思惑の中で
米国・ハリス副大統領が、8月26日に初の東南アジア訪問を終えました。このたびの訪問先は、シンガポールとベトナムの2か国だけでしたが、東南アジアに対する米国の関心の高さがうかがえる外訪でした。バイデン政権が発足して以来、米国は、ブリンケン国務長官やオースティン国防長官を、日韓、東南アジアに派遣してきましたが、この度のハリス副大統領の訪問は、米高官による一連のアジア歴訪の締めくくりとなりました。米国はバイデン政権に代わってから、トランプ政権の時よりも、東南アジア重視する姿勢を示したといえます。おりしも、近年は、米中対立の長期化、南沙諸島海域の領有権に絡む中国とフィリピンやベトナムの対立など、アジア新興国をめぐって問題が山積みとなっています。このたびの米国高官による東南アジア歴訪を機に、今後は、東南アジア、米国、中国の間で、外交関係に変化が出てくる可能性があるとみています。主なアジア新興国のうち、フィリピン、インドネシア、ベトナムについて、国ごとのおかれている現状と注目点について、確認してみたいと思います
「ディディ・ショック」で中国のIT業界が“冬の時代”に、規制を強める政府当局の狙いは?
競争の促進と国民の負担軽減で経済の活性化を図る
今年7月2日、中国ネット規制当局は、配車アプリ運営大手の滴滴出行(以下、ディディ)に対して、国家安全を守るための調査を開始すると発表しました。ディディは6月30日に米国ニューヨーク市場でIPOを行ったばかりで、上場前に中国当局は配車で収集した機密データが米国に流出することを懸念して、同社に上場延期を求めていました。ディディは中国当局の意向の背いでIPOを強行したため、配車アプリの配信が停止させられ、これを受けて同社の株価は暴落したほか、米国と香港に上場する中国の大手IT企業の間でも政策リスクを巡って大きな動揺が広がりました。ディディの場合、主に国家安全保障上の事情で規制された格好ですが、中国では昨年から独禁法違反で規制されたIT企業も多く、今回はその背景と中国当局の狙いについて考えてみたいと思います。
ベトナムで急増する「エフゼロインベスター」とは?ベトナム証券市場が一時パンク寸前だったワケ
株価は史上最高値更新、進化する市場の今
現在ベトナムでは株式投資を始める人が急増しています。2021年1月から6月まで新規に開設された証券取引口座は62万口座に達し、その増加率は前年同期比で3.2倍となっています。この株式投資ブームの裏で一体 何が起きているのでしょうか?今回は、藍澤証券グループのベトナム現地法人であるジャパン証券から、ベトナム株式市場の今をご紹介します。
ユニコーン企業の宝庫インドネシアの最新新興企業動向、IPOの関連報道続々
コロナ禍でも新事業で不振を補う
東南アジアでは、直近マレーシアやフィリピンでの新型コロナウイルス感染拡大が顕著で、景気の先行き不安につながっています。人口大国であるインドネシアでは、6月9日に7,725人の新型コロナウイルス感染者数が確認されました。7千人超となったのは、3月4日以来約3ヶ月ぶりで、累計感染者数は187万7,050人に達しました。今年年初あたりまでは、感染封じ込めに成功しているコロナの優等生とみられていたベトナムでも、感染者数が急増、工業団地の一部が停止に追い込まれるなど、経済全体に影響が拡がっています。いずれの国においても、コロナ禍問題の影響が景気の先行き見通しを悪化させていますが、そのような状況の中でここ数ヵ月目立った動きとなっているのが、インドネシアの新興企業の動きです。今回は、評価額が10億ドルを超えるようなユニコーン企業も出始めているインドネシアの新興企業の動向を探ってみたいと思います。
中国の新エネルギー車(NEV)競争、勝つのはテスラ?国内メーカー?各社の新モデルを一挙紹介
中国主要6都市で新車販売の2割は新エネルギー車に
5月11日、中国の自動車業界団体である全国乗用車市場情報連合会(乗連会)は、4月の国内乗用車販売台数(小売ベース)は前年同期比12.4%増の164.3万台、このうちEVとプラグイン・ハイブリッド車、燃料電池車など新エネルギー車(以下、NEV)の販売台数は同192.8%増の16.3万台に達したと発表しました。中国全体で見ると、乗用車の新車販売全体に占めるNEVの比率は約1割ですが、北京と上海、広州、深セン、杭州、天津など主要6都市ではNEVの比率は約2割と、NEVへのシフトがより鮮明になっています。その中で、NEVを購入すればナンバープレートの取得費用(オークションで約9.3万元=約157万円)が免除される上海では、新車販売に占めるNEVの比率は約3割と、急速に普及しています。中でも、テスラや蔚来(ニオ)汽車などのEVメーカーが大きく販売台数を伸ばしています。今回は4月19日~28日に開催された第19回上海国際モーターショーで披露されたNEVの新ブランドや新型モデルなどを通じて、中国国内におけるメーカー各社の動向を見てきたいと思います。<写真:Featurechina/アフロ>
ベトナム車がホンダや米フォードを超える!?巨額IPOが噂される新興メーカー ビンファストの実力とは
ビンファストがEVを米国、カナダ、欧州に輸出方針
4月中旬、ベトナム株式市場に、同国最大の複合企業ビングループの子会社で国産車の生産を手掛けるビンファストが、米国での上場を検討しているとのニュースが飛び込んできました。これを受け、ビングループの株価は一時前月末比22%上昇するなど(終値ベース)、大きく動きました。
コロナ後の開放感に照準、投資が加速するマカオ カジノ産業の今
ワクチン普及がカギ
最近、マカオのカジノ収入が回復基調をたどり始めています。マカオは新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中から観光客が「消える」という大打撃を受け、カジノ収入は2020年2月以降激減しました。しかし現在は、中国本土では新型コロナの感染抑制が功を奏し、夏以降はマカオへの渡航規制を段階的に緩和しています。今回は、コロナ後を見据えて動き出したマカオのカジノ産業について解説します。
TikTokのライバル動画アプリ「快手」が香港市場に上場、注目は“投げ銭”と“網紅”の経済効果
動画投稿とライブコマース
2月5日、中国で動画投稿アプリ「クアイショウ(快手)」を運営する快手科技[クアイショウ・テクノロジー](香港:1024)が香港市場に上場しました。同社は主にショート動画やライブ動画、ライブコマースのプラットフォームを運営しており、2020年9月時点のデイリー・アクティブ・ユーザー数(毎日1回以上アプリを利用する人)は約3億人と中国の「ティックトック(TikTok)」の約6億人に次ぐ業界第2位の規模を誇っています。今までソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)と言えば、欧米を中心とした「フェイスブック(facebook)」や「インスタグラム(Instagram)」、「ツイッター(Twitter)」、アジアを中心とした「ウィーチャット(Wechat)」、「ライン(LINE)」など文字や写真を投稿するサービスが一般的で、人々にとって重要なコミュニケーション手段として広く普及してきました。しかし最近では、通信技術の進化に伴ってより直観的に情報を伝達できる動画投稿アプリの人気が急速に高まっており、SNSの主戦場は文字や画像から動画へとシフトし始めています。その中で、中国の「ティックトック
LGやテスラも注目 コロナ感染急拡大に苦しむインドネシア ニッケルへの期待高まる
世界最大の埋蔵量
1月26日、IMF(世界通貨基金)が世界経済見通しを発表しました。原則3か月に1回の周期でIMFが発表している世界および国別の成長率見通しで、世界全体の2021年の成長率見通しは、前回予測の5.2%から5.5%へ上方修正されています。現時点では、コロナ禍が収束する気配はなく、国別にみても、すべての国が回復しているわけではありませんが、世界全体でみれば、徐々に安定を取り戻し始めている段階といえます。今回は、感染者拡大と景気低迷に苦しんでいるインドネシアを中心に、今の状況と今後の注目点などについて考えてみたいと思います。
日本が深刻なコロナ禍で行き詰まるのに、台湾とベトナム経済が好調なワケ
台湾・TSMC決算は最高益
2020年は年半ばには多くの国で制限が緩和されるなど、各国の経済活動に明るさが見え始めていました。しかし、年末から2021年にかけ、主要国におけるコロナ問題が再び深刻化しています。今年もコロナウイルスとワクチン開発のせめぎあいが予想されますが。世界経済、株式市場は、昨年以上にコロナ問題へ振り回されることとなりそうです。そのなかで、アジア市場のなかで注目される国、そのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。
いずれ日本にも上陸?ロレアル、エスティ・ローダーを抜く中国ブランド化粧品
15~24歳「Z世代」がけん引
中国の化粧品市場は拡大が続いています。経済成長に伴って所得水準が向上した中間層が厚みを増しており、2019年は388億ドル(日本円で約4兆円)まで拡大。2025年には約690億ドルに達する見通しで、19年に比べて約8割増える見込みです。また、全世界に占める市場シェアも19年の21.4%から25年には29.5%まで拡大する見通しです。市場規模的には世界最大ですが、これまで中国ブランドへの信頼性が低かったことから、「自国メーカー不毛の地」とみなされていました。
コロナ禍で急拡大する中国のオンライン医療、強みを見せるアリババ、JDドットコム
株式市場で成長産業として注目
新型コロナ禍の感染が拡大した今年1~3月、中国では病院に感染者が溢れ、中国政府は医療資源のほとんどを感染対策と治療に充てざるを得なくなりました。そうした中、持病を持つ人々にとって、病院にかかることは非常に混雑かつコロナ感染の恐れがあることから、自宅に居ながら診療から処方、薬品の配送までしてもらえるオンライン医療の利用が増加しています。オンライン医療は、医薬品の流通や診療の仕組みを大きく変える可能性があります。中国の株式市場で次なる成長産業として注目度が高まるこの分野を解説します。
年6%以上の成長続く”世界のコールセンター”フィリピン経済が失速、景気回復はいつ?
約30年ぶりに景気後退局面
11月19日、フィリピン中央銀行は、政策金利である翌日物リバースレポ金利を2.25%から過去最低の2.0%に引き下げました。多くの市場参加者が据え置きを予想していたため、サプライズとなりました。コロナ禍で景気が低迷する中、今秋は例年以上に台風が襲来し甚大な被害をもたらしていることから、景気下支えのために利下げに踏み切ったもようです。昨年まで8年連続で6%以上の成長を達成してきたフィリピン経済。コロナ禍の今、どうなっているのか、詳しく解説します。
テンセント出資、最新鋭技術で不動産業界を変える中国テック企業の正体とは?
VR内覧、AI案内、CG家具配置 革新的な「貝殻找房(BEKE)」
中国経済は2020年1~2月をボトムに投資主導で回復が続いています。固定資産投資は1~2月の24.5%減から1~9月には0.8%増へと小幅ながらもプラス圏に切り返しました。分野別には不動産開発投資が1~6月にプラスに転換した点は注目に値します。今回は、「PropTech」(Property x Technology:不動産テック)として注目を集め、米NY市場に上場した「貝殻找房(BEKE)」を紹介します。
テスラに続け!中国で急成長する新興EVメーカー、蔚来汽車、理想汽車、小鵬汽車を徹底解説
販売台数は前年同期比68%増
新型コロナの感染拡大によって全世界の自動車販売が落ち込む中、中国では9月の新エネルギー車(主にEV、一部プラグインハイブリッド車と燃料電池車を含む)の販売台数が前年同期比67.7%増の13.8万台と、3ヵ月連続で2ケタ以上の高成長を維持しました。昨年末に上海で現地生産を開始した米国のテスラが最大の市場シェアを誇っているほか、国産のEVメーカーも急速に販売台数を伸ばしており、中国では有力メーカーがひしめく「EV戦国時代」に突入しようとしています。今回は、注目度が高い中国の新興EV三社である蔚来汽車、理想汽車、小鵬汽車についてご紹介したいと思います。