紙幣には偽造を防ぐため、また目の不自由な方が識別しやすいよう、最新技術を使った様々な工夫が施されています。

スキャナーで読み取れない文字や透かし技術……どんな技術が施されているのかみてみましょう。紙幣のトリビアいくつ知っていますか?


【1】すき入れ(白黒透かし)

一番分かりやすいのがこちら。光にかざすと中央の丸い部分に肖像画が現れ、さらに肖像画の右部分に縦線が浮かび上がります。縦線は金額によって本数が変わり、一万円札は3本、五千円札は2本、千円札は1本となっています。

【2】深凹版印刷

色の濃い部分は凹版印刷で印刷しているとご紹介しましたが、凹版印刷よりもさらに圧力をかける深凹版印刷という技術も使われています。「10000」「壱万円」などの額面や、右下にある識別マークに使われている技術で、凹版印刷よりも少し立体的で、触れるとざらざらした感覚があります。識別マークとは、目の不自由な方が指で触って紙幣の種類を判断するためのもの。右下・左下に、一万円札ならかぎ型、五千円札なら八角形、千円札なら横棒の識別マークが印刷されています。

【3】ホログラム・パールインキ

紙幣を傾けることで、文字や絵柄が見えるものもあります。一万円札と五千円札には、角度によって桜の模様が浮かんだり、額面が浮かぶ、ホログラムが貼られています。

ホログラムは一万円札と五千円札にしか貼付していませんが、千円札でも角度により見え方が変わる部分があります。紙幣の左右両端の中央部は、傾けるとピンク色の光沢が現れます。これは、パールインキという特殊なインキで印刷されているため。一万円札、五千円札でも見ることができます。

【4】マイクロ文字

全ての紙幣には、カラフルな草花の模様や幾何学模様が印刷されていますが、ここにも秘密が潜んでいます。ルーペ(顕微鏡)などで拡大してみると、小さな「NIPPONGINKO」という文字が見つけられるはず。マイクロ文字と呼ばれるこれらの文字は、小さすぎるためにコピー機やスキャナーでは再現できない微小文字です。

【5】特殊発光インキ

最後は特殊な環境下で変化が現れるものです。これを見つけるには、暗い空間とブラックライトを用意しましょう。印章や表裏の模様の一部には、紫外線(UV)に反応する特殊なインキが使用されており、ブラックライトを当てると発光します。①〜④は知っていても、これは知らなかったという人もいるのではないでしょうか。


紙幣の製造工程と、紙幣に使われている偽造防止技術をご紹介しました。日本では2004年に変更されたのを最後に、10年以上同じ紙幣を使用しています。新しい紙幣も見てみたいものですが、同じものが長く使われるということは、優れた紙幣であることの証拠でもあるのです。

国立印刷局 小田原工場

神奈川県小田原市酒匂6-2-1、JR東海道線小田原駅から箱根登山バス国府津駅行きで約20分の印刷局前下車徒歩5分、TEL:0465-49-8225、見学無料、見学時間①9:30〜②13:30〜(要事前予約毎週火・木曜開催、所要約90分)

※小田原工場のほか、東京工場・静岡工場・彦根工場でも見学を行っています。詳細は国立印刷局のホームページへ。

文=南雲恵里香(風来堂)