はじめに
突然ですが、ひとつ質問です。あなたが最後に写真を現像したのはいつですか?「考えてみれば、長いこと写真を現像していないなぁ」という方も多いのではないでしょうか。
撮影した写真を現像せず、デジタル機器の中だけで見る人が急増。デジタルカメラやスマートフォンの普及、記憶媒体の容量拡大により、写真を取り巻く環境は急速に変化しています。
2000年には5000億円程度だった日本のDPE(写真の現像・焼き付け・引き伸ばし)市場は、この15年ほどで1200億円程度まで縮小しました(※2016/11/30 日経NEEDS業界解説レポート「写真プリント・写真館」より引用)。
しかし、同じように写真を扱うサービスでも、堅調な業態もあります。中でも写真館業態は比較的安定しており、市場規模は2000億円程度と高止まりしています。なぜ写真館の経営は堅調なのでしょうか。こども専用写真館の運営で売上を伸ばす株式会社スタジオアリスを例にとって、その理由を探ってみましょう。
親子の一大行事、七五三撮影
12月初旬の休日、筆者は七歳を迎えた娘を含む家族4人でスタジオアリスに向かいました。目的は、七五三の写真撮影です。七五三のお参りは11月に済ませ、この日は写真撮影だけを行いました。他にも3組ほどの家族連れが来店しており、店内は熱気に包まれていました。
娘は、ずらりと並ぶ衣装に目を輝かせ、さっそく衣装選びを始めます。古典柄の和服から流行を取り入れたドレス、動物の着ぐるみにディズニープリンセスの衣装までバリエーションも豊か。何回目かのスタジオアリスでの撮影ですが、親子ともに気に入る衣装が必ず見つかるのは素晴らしいです。なお、スタッフによれば、店舗には500着以上の衣装が用意され、1年半で全て新しいものに置き換えられるそうです。
衣装・髪型を選び終えたら、お着替えです。ヘアメイクもしてもらいお姫様気分の娘は、スタッフの拍手とともに赤いビロードのカーテンから登場します。嬉しくてたまらない様子で、何度も鏡を見ていました。撮影は子どもの扱いに慣れたスタッフやカメラマンが行います。上手な誘導で、笑顔をはじめとするさまざまな表情の写真を撮影してもらうことができました。
撮影後は、写真の選定と、商品の注文。今度は親の出番です。こちらもスタッフの上手な誘導で何枚もの写真を選び、購入しました。写真やグッズの完成は約2週間後とのこと。滞在時間は4時間と、かなりの長丁場となり、筆者は疲れ果てました。しかし子どもたちが「楽しかった!」「いい写真が撮れたね」と喜んでいるのを見ると思わず笑顔に。写真の仕上がりが楽しみになりました。