はじめに
ファストファッションの世界的大手であるZARAが日本国内全店で電子タグを導入したというニュースが掲載されました。電子タグとはいったい何なのでしょう?それによってZARAの収益性がどう変わるのでしょう?
噂だけ先行している感があるIoTの事例としても勉強になる電子タグについて解説してみたいと思います。
ZARAが導入する電子タグとはいったい何か
ZARAが導入した電子タグとは、簡単に言えばバーコードのタグの代わりになる電子チップのついたタグのことです。今のところ一個10円程度と割高ですが、この価格はこれから徐々に安くなってくると思います。
ZARAでシャツなどの商品を購入する際にこれまではレジでバーコードリーダーをピッとやってその製品の商品情報や価格情報をレジに読み込んでいたのですが、これからはバーコードリーダーを近づけなくても電子タグの情報をタグから飛んでくる電波をキャッチすることで自動的に読み取ることができるようになります。
タグにはいろいろな種類がありますが、比較的普及しているタイプの電子タグの場合はたくさんの商品を一括で読み取ることが可能になっています。ですからレジに10着ぐらいの商品を持ち込んだとしたら、これからは一瞬でその10着の商品情報がピッとレジでわかるようになるのです。
電子タグでレジの待ち時間が大幅に減る
これはわれわれ顧客の側で考えれば、レジでの待ち時間がぐんと減るのですが、ZARAの側ではさらに大きなメリットがあります。
衣料業界では店員の労働負荷が大きいことが問題になっています。先日、週刊文春にジャーナリストの横田増生さんが従業員となってユニクロに潜入した記事が掲載されました。そこでは11月の感謝祭での、従業員の作業状況がいかにつらいのかが詳しくレポートされていました。
とにかくユニクロの感謝祭には大量の顧客が集まります。一年の大半の利益をこの時期に稼ぎ出すということもあって、一度レジに入った従業員は3時間もの間、ずっと切れ目なく並ぶ顧客の列をさばいていく必要が出るのです。
レジでの長い行列はわれわれ消費者にとっても不満ですが、それを一日中対応しなければならない従業員にとってはさらなる苦痛です。電子タグはこのような顧客・従業員双方にとって苦痛な時間を取り除いてくれることになります。