生活

男性も家事や育児のストレスが増加、いまどき家庭事情とは?

育児時間は増えたが、育児実施率は…

現代の日本はストレス社会と言われており、職場や学校、家庭でストレスを抱える人が増えていると言われます。共働き世帯が増え、家計を担うのも、家事・育児をするのも夫婦で分かち合う時代となり、夫婦のストレスの感じ方はどう変わってきているのでしょうか。男女の家事・育児ストレスについてみてみます。


男性も育児・家事ストレスが増加

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、有職女性のうち、育児や家事にストレスを感じる割合は上昇しています(図表1左)。細分化した集計がないので、詳細はわからないものの、要因として、有職女性の中で子どもをもつ割合が高まったこと(*1)、子どもをもつ有職女性の労働時間が長くなったこと(*2)等が考えられます。

同調査によると、有職男性の育児・家事ストレスを感じている割合も、水準は女性と比べて低いものの上昇しています(図表1右)。女性は、家事ストレスが育児ストレスを上回っているのに対して、男性は、育児ストレスが家事ストレスを上回っていることが特徴です。

図表1 悩みやストレスがある割合(育児・家事)


(資料)厚生労働省「国民生活基礎調査」各年

(*1)厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、末子が6歳未満である有職女性の割合は、2007年に7.8%、2012年に8.64%、2017年に9.64%と上昇している。一方、末子が6歳未満である有職男性の割合は、概ね横ばいとなっています。
(*2)総務省「社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもをもつ共働き世帯の妻の仕事時間は、2006年から2016年で平均380分から393分に増加しています。

育児をしている男性の育児時間は増加したが、育児をする男性はあまり増えていない

男性の育児や家事負担は、どの程度増えているのでしょうか。総務省の「社会生活基本調査」で、6歳未満の子どもをもつ男性全体の育児と家事実施時間を、2006年と2016年とで比較してみると、男性全体では、育児時間(週全体の1日平均。以下同じ。)が32分から48分と50%増加し、家事時間が9分から17分とおよそ2倍に増えています。

育児や家事を実施している男性に限ってみると、実施時間については、育児が114分から148分、家事が70分から88分と、いずれも30%程度増加しています。

一方、育児や家事を実施している割合については、家事が13.2%から18.6%と41%増加したのに対して、育児は26.6%から30.4%と14%しか増加していません 。育児をまったくやっていないという男性が7割近くもいることに驚かされます。単身赴任、または、早朝に出勤し、子どもが寝てから帰宅する生活なのかもしれません。逆に、家事や育児に多くの時間を使っている男性がいるのも事実です。

これらの結果から、男性全体の平均育児時間の増加は、育児を行う男性が増えたというよりは、育児を行っている男性の育児時間が増えた印象です。

図表2 6歳未満の子を持つ男性の家事・育児時間(週全体での1日平均)と増加率

( 注 )行動者率とは、調査対象日に当該行動をした人を、当該属性人口で割ったもの。調査票には、「育児」の例として、乳幼児の世話、送迎、子どものつきそい、勉強の相手、遊びの相手、保護者会に参加等が記載。
(資料)総務省「社会生活基本調査」各年

男女それぞれ育ってきた環境が違う

現状では、夫婦ともに働いていても、家事や育児の分担が妻に偏っている家庭が多く 、働く女性が育児ストレスを感じている割合は、男性を上回ります。働く女性の両立支援策は、今なお大きな課題です。しかし、勤務先でどれだけ女性に対する両立支援策が充実しても、夫の家事や育児時間が増えなければ、妻の負担は減りません。

内閣府「平成27年度少子化社会に関する国際意識調査」によると、子どもを持つ男性の3割が、子どもが生まれた時に、1カ月以上の育児休業を取得したかったと回答しています。しかし、実際の育児休暇取得率は2017年度でも5.14% と低く、育児休業取得の点でも、日常の働き方の点でも、企業に勤める男性の育児環境が整っているとは言えません。

そのような実情の一方で、近年、男性従業員の育児休暇取得に力を入れている企業が増えたり、世間でも「イクメン」など育児する男性を応援する動きが極端に活発になっており、「イクメン疲れ」といった言葉にも代表されるように、子どもをもつ男性に対するプレッシャーは大きいものとなっています。

男性の育児ストレスに眼を向けると、自分が子ども時代は、母親が育児を一手に担う家庭が多かった世代であり、描く父親像は、仕事メインの存在だったことでしょう。そういった背景を考えると、近年のストレス増加の原因には、育児をすることで生じたストレスや、希望するほど育児ができていないストレスのほか、育児をすることを想定しないまま父親になってしまったことによる本人や職場における戸惑いのようなものもあるように思われます。現在は過渡期なのかもしれません。

現在、国の「男女共同参画基本計画」において、男性の育児については、育児休業取得率と、6歳未満の子どもをもつ夫の育児・家事関連時間について目標が掲げられています 。家庭には、それぞれ最適な形があるとは言え、今なお育児がまったくできていない子をもつ男性が7割近くいることや、この10年間でその割合にあまり変化がないことを踏まえて、まずは短時間でも育児をする男性を増やすことが必要ではないでしょうか。

(*3)日曜日の行動者率は、39.0%(2006年)から43.7%(2016年)と、平日より10ポイント程度高くなっています。
(*4)2016年の統計では、夫と妻のいずれもが正規の職員・従業員であっても、6歳未満の子をもつ妻の育児行動率は74.9%、行動者の行動時間は240分で、夫(36.6%、139分)を上回っています。
(*5)2017年度厚生労働省「雇用均等基本調査」
(*6)2020年までに男性(公務員、民間企業勤務者)の育児休業取得率を13%に、6歳未満の子供を持つ夫の育児・家事(介護、買い物を含む)を150分にすることが目標(第4次男女共同参画基本計画における目標)。

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