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弱含む経済指標、“人気お笑い番組”から景気変調を点検

アベノミクス景気はどうなる?

内閣府・景気動向指数を使った機械的な景気の基調判断で、9月分は「足踏みを示している」に変更されました。それまで最上位の「改善を示している」という判断が2016年10月分以降、23ヵ月連続して続いていたので、久しぶりの下方修正となりました。

景気動向指数の一致系列の第1系列に採用されているのが鉱工業生産指数ですが、この9月分は前月比マイナス、そしてそれを含む7~9月期は前期比マイナスでした。また7~9月期実質GDP(国内総生産)も、前期比年率▲1.2%とマイナス成長になりました。

このように、主要経済指標の多くが足元の7~9月期に変調をきたしています。息の長い景気拡張局面を続けてきたアベノミクス景気はどうなるのでしょうか。足元の景気を点検したいと思います。


懸念要因は保護主義台頭と中国景気悪化

「ESPフォーキャスト調査」では、特別調査として2017年6月以降偶数月に、「半年から1年後にかけて景気上昇を抑える(あるいは景気を反転させる)可能性がある要因」を約40名のフォーキャスターに質問しています。フォーキャスターに11項目プラス自由回答枠の中から、1人3つまで選択してもらっています。

2018年10月調査で第1位は「保護主義の高まり」で28人です。2018年2月調査では4人でしたが、ドナルド・トランプ米大統領が鉄鋼・アルミ関税引き上げに言及した直後の調査である4月調査で20人に増え、6月調査では22人、8月調査は30人と、今年になって注目度が急上昇した要因です。

第2位は「中国景気の悪化」です。2017年6月の第1回調査で27人が指摘した第1位の項目でした。同年10月調査28人、12月調査29人と第1位をキープしていました。

2018年に入って中国景気の底堅さが意識されるようになると、2月調査以降は1位の座を明け渡し、6月調査の13人まで低下しました。しかし、米中貿易戦争の懸念が高まる中、再び上昇し、直近の10月調査では26人まで戻してきました。

7~9月期生産減少の主因は自然災害

9月分確報値の鉱工業生産指数が前月比▲0.4%、さらに鉱工業出荷指数が前月比▲2.0%と、生産を上回る減少となりました。9月分の鉱工業生産指数に関しては、同月に発生した北海道胆振東部地震や、2度の台風の上陸の影響などがマイナス要因になったとみられます。

出荷の減少率が生産を上回った理由は、米中貿易戦争の影響が足元で大きく顕在化し需要が大幅に減少したというよりは、月末の台風の影響などで予定していた出荷ができず、出荷待ちの在庫が積み上がった一時的な面が大きいように思われます。

その証拠に、10月上中旬の貿易統計で輸出は前年比で9.2%増加、大きく増加した3品目の中に、挽回生産をしたとみられる自動車、半導体等電子部品が入っていることが挙げられるでしょう。

鉱工業生産指数の先行きを製造工業予測数でみると、前月比+6.0%の大幅増加です。ただし、9月分の特殊要因を考慮しない過去のパターンなどで修正した経済産業省の機械的な補正値では、10月分前月比は最頻値で+0.9%となっています。総合的にみて鉱工業生産指数10月分前月比は両者間のそれなりのプラスの伸び率に戻ると考えられるでしょう。

判断は早ければ2月7日に改善に

景気動向指数の基調判断が「改善を示している」という最上位の景況判断に戻るには、原則として3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラスであることが必要です。

9月分の悪化は自然災害による一時的なものだとすると、10月分以降、上方修正の条件を満たせれば「改善を示している」に戻ります。最短では12月分速報値が公表される2月7日になります。10月分が9月分の反動増でかなり戻せれば、11月分・12月分は緩やかな上昇で条件を満たせるので、ハードルはそれほど高くないといえそうです。

7~9月期実質GDPがマイナス成長になった要因の1つは、個人消費が前期比▲0.1%と落ち込んだことです。

耐久財、半耐久財、非耐久財の3カテゴリーは前期比増加でモノの消費の基調は底堅く、サービスだけが前期比▲0.7%と減少しました。主に自然災害によるレジャー支出、旅行支出などの一時的減少とみられるので、個人消費は10~12月期では持ち直すと考えられます。

しかし、10月では消費者マインドが悪化したようです。10月の「消費者マインドアンケート調査」で、暮らし向きに関する5段階の回答を「景気ウォッチャー調査」と同様の手法でDIを作成すると41.1になり、9月の42.7より1.6ポイント低下、調査開始の2016年9月以降で最低水準となりました。

また、10月の「消費動向調査」消費者態度指数は43.0と、前月に比べ0.4ポイント低下しました。43.0は2017年1月以来、21ヵ月ぶりの低水準です。消費者マインドの悪化が10月分の実際の消費指標の悪化につながっていないか、11月後半に発表されるデータが注目されるところです。

消費動向を占う“あの番組”の視聴率

日曜日の夕方、日本テレビ系列で放映されている「笑点」の視聴率がビデオリサーチ(関東地区)の「その他娯楽番組」のジャンルで第1位をとることが多いと、消費活動が抑制されている可能性が大きいという傾向があります。買い物やレジャーに出かけずに、夕方「笑点」を見る人が通常よりも多くなっていることを意味するからです。

今年は9月最終週で1位になり、10月は4週ともすべて「笑点」が第1位となりました。11月第1週も第1位でした。好天に恵まれた10月28日と11月4日も視聴率が20%台と高かったことが気に懸ります。株価下落、米中貿易戦争への懸念、自然災害、景気足踏みに関する報道などが、必要以上に消費者のマインドを悪化させていることが懸念されます。

ただし、「笑点」の視聴率は11月第2週には視聴率15.9%で3位に低下しました。台風などの自然災害がなくなっても、米中貿易戦争など保護主義の悪影響が心理面に影響するかどうか。暖冬をもたらし冬物消費にマイナスに作用するエルニーニョ現象が発生したことなどと合わせ、10~12月期の指標を予断を持つことなく見守る必要があります。

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