はじめに
出口の進学率にも注目したい
出口の進学率に再び注目して付け加えれば、70%以上の系列大進学にせよ30%~69%のそれにせよ、その残りの生徒についても注目したいところです。
というのも、系列大学には医学部や工学部あるいは芸術学部など非常に運営にお金のかかる学部が設定されていない場合が少なくありません。そういった進学希望者は外に出ることになりますし、たとえ同じ学部があったにせよ、ランクが高い別の大学に行く生徒もいますし、逆にランクを落として他大学に行かざるを得ない生徒もいます。
モリの目としては、ランクアップして進学する生徒については分母をこうした他大学進学者の総数にして、分子を難関国立大(東大、京大、東工大、一橋大他)あるいは早慶(早慶以外の付属校の場合)合格者として合格率を出すように勧めています。確かにそれは学校によっては在校生の2、3割の分母かもしれませんが、「大学受験生」の括りで見るとこの比率は指標として大切だと考えています。そして、この比率で他のいわゆる進学校と比べてみると、高い合格率を示すことが多いのも事実です。
近年、早稲田、学習院、立教女学院、香蘭、成蹊、成城学園などの人気が高いのもこうした事実に人々が関心を持っていることを示していると考えています。
こうして付属を考える場合、入口出口の男女の進学率、出口の他大学の進学率などの数字と、実はもう一つ、中間の進学率というべき数字も大切です。それは中学から高校へ上がる数字です。
付属校といってもカタチは様々
そもそも一口に付属といっても、その成り立ちには大きくいって2通りあります。例示しやすいので慶應型と早実型という言い方をします。
慶應型は小、中、高の各学校段階で、下からの学年集団を一度ガラガラポンして、独立した学年集団に組み替えていくのが伝統的手法でした。中学は3つに分かれていますが、高校は4つに別の学校があります。しかし、近年は慶應湘南藤沢中等部に慶應横浜小学校がそのまま上がることにしたため、この仕組みは慶應湘南藤沢については一部あてはまらなくなりました。
早実型は、小、中、高と同じ集団が上がっていきますが、中、高で外部から受験して生徒が増えていきます。
国立大付属の多く、また学習院も含めた伝統校付属は、小、中、高が元は別々の学校で、今でも法的には「中等教育学校」にしていないところが多く(その意味では私学の多くが「中学」「高校」の型)、中高一貫に見えますが、どちらかというと大学受験という組織目的のない付属校の方がこの中学・高校別組織スタイルが多く残っています。
このスタイルの場合、中学から高校に自動的に上がれるわけではなく、一旦は中学で修了するため、高校に上がれない子が出たり、また、高校から外部に出ることも当たり前にあります。これも当然といえば当然ですが、受験偏差値でいうランクアップした高校に進学することは少なくありませんし、逆に他校へ受験してランクダウンせざるを得ないこともあります。
また、高校は義務教育ではないので落第制度が割にしっかり残っていたりします。これもそれも中高完全一貫という、どちらかというと大学進学校スタイルをとっていないが故の学校の在り方からくるもので、2020年以降の大学入試で主要となるAO入試において評価される中学高校での業績評価に、案外なじむ学校スタイルといえるかもしれません。