2018年の主要国株価パフォーマンスを見てみると、米国株はトップレベル、中国株は最下位クラスとなりました。米中貿易戦争の行方が依然として不透明な中、中国株の低迷はいつまで続くのでしょうか。過去の米中株価チャートを見てみると、意外な結果が見えてきました。


貿易戦争は一時休止、しかし反応は鈍い

12月の最注目イベントであった米中首脳会談においては、来年1月からとしていた追加関税発動を90日間猶予することが決定しました。米中貿易戦争の一時休戦となったことを好感して、一時は株高ムードが広がりましたが、依然不安定な値動きを脱却するには至っていません。

トランプ米大統領の強硬発言などに翻弄される状況は継続していますし、中国の通信機器大手ファーウェイのCFO(最高財務責任者)がカナダで拘束という報道もあります。両国の多方面での覇権争いは長期化・深刻化するとの見方も払拭できていません。

とはいえ市場はこうした懸念を事前に織り込んでいる可能性も考慮しておきたいところです。中国株の調整は既に2015年6月高値から3年半に及び、一時は半値以下水準まで落ち込みました。過去の主要な調整場面と比較しても値幅はもちろん、日柄的にも概ね一巡感が生じています(下図)。

米中株価指数は数年おきに交錯

実は、両国の主要株価指数である米国・S&P500と中国・上海総合指数は、現在ともに2,700ポイント近辺で交錯状態にあります。両者は1996年、1999年、2005年、2014年に同水準に収れんしていますが、そのタイミングがいずれも中国株の本格上昇の起点となりました。S&P500も堅調地合いを維持されるなかで、中国株の底値が形成される格好です。

株価指数の交錯はおそらく偶然の産物でしょうが、過去20年に渡って繰り返されるアノマリー(合理的根拠に乏しい市場のくせ)の一種かも知れません。

両指数を相対比較してみるとその関係はより鮮明です。上海総合指数÷S&P500種を計算してみると、過去4回とも数値が1近辺で急速に反転、いずれも中国株上昇に繋がりました(下図)。

経済成長の加速や、当局の政策対応がその追い風となったと見られますが、今回も景気減速への対応から中国当局は既に景気対策を打ち出しつつあり、今後の追加対応も期待される状況にあります。

海外資金流入も需給改善に寄与

前回の上昇相場の2014年には上海・香港取引所間で相互に人民元建て上場株式(A株)の取引(ストック・コネクト)制度が導入、適格機関投資家に限られていた海外投資家による本土株投資が可能となり、株高の一翼を担いました。

一方、今年は5月からMSCI社の新興国指数に上海A株への組入れがスタート、来年以降の組入れ拡大の計画も含め、株式需給面でも改善期待は高まりつつあると言えます。

ちなみにMSCI新興国指数に占める中国A株の組入れ比率は0.7%、2020年5月には3.4%への拡大の計画、来年6月からはFTSE指数への新規採用も決定しており、中国側の制度改善とも相俟って、徐々に市場の支えとして機能してくることが期待されます。

景気減速に歯止めか

年初以降、減速傾向が続いていた中国経済指標にも下げ止まりの気配が見え始めています。10月の都市部固定資産投資の伸び率が拡大、工業生産の持ち直し、財新発表の11月PMIは事前予想や前月水準を上回り、政府の景気対策の効果が発現しているようです。

今後、中央経済工作会議などを通じて、さらなる政策対応が打ち出される可能性もあり、株式市場への好影響が期待されます。実際11月以降中国株の下げ渋りが窺われます。既に中国株の巻き返しが始まっているのかもしれません。

(文:岩井コスモ証券 投資調査部 林卓郎 写真:ロイター/アフロ)